アメリカ
海上輸送の24時間ルール
アメリカの税関が、海上貨物の事前情報(B/Lの内容をもとにした積み荷目録:マニフェスト)を事前に確認し、テロ行為に使われる可能性のある貨物が輸入されない様にする制度。
外国の船積み港で貨物が積まれる24時間前に、マニフェストをCBP(Customs and Border Protection 米国国土安全保障省 税関・国境取締局 )に提出する。提出するのは輸出地の船会社やフォワーダー。提出する際に
はAMS (Advance Manifest System) というシステムを用いる。
この手続きのため、本来のカット日より前倒しでカット日が設定される。
一方、米国の輸入者からも10個、運送業者から2個のデータもCBPに提出する。これをISF 10+2 という。ISFとはImport Security Filing の略。
CBPは輸出者からのマニフェスト情報と輸入者からのISFを B/L No.で紐付けて管理する。
C-TPAT
Custom-Trade Partnership Against Terrorism 対テロ関税・貿易パートナーシップ
米国税関・国境警備局(CBP)が主導する自主的なサプライチェーン・セキュリティ・プログラムで、テロに対する民間企業のサプライチェーンのセキュリティ向上に焦点を当てている。
2001年11月、米国の大企業7社が初期参加者として発足した。
参加企業は、米国の輸入者、キャリア、フォワーダー、ターミナル・オペレーターなど。いわば、米国のAEO制度である。
C-TPAT認証を取得する企業は、国際的なサプライチェーン全体を通じてリスクを判断し、軽減するためのプロセスを文書化しなければならない。これにより、企業は低リスクとみなされ、税関審査の回数を減らすなど、貨物の迅速な処理が可能となる。
C-TPAT参加企業が海外取引企業をバリデーション(検証)する場合に、当該企業が相互承認相手国・地域の AEO 企業であるときは、その資格を受け入れることとされている。
W-8BEN-E
日本の企業が米国企業に対して何らかのサービスを提供し、その対価を米国企業から支払いを受ける際、米国で源泉徴収の対象となる。これを避けるためにW-8BEN-Eという書式を米国歳入庁に提出して、米国からの送金時は源泉徴収なしで送金してもらうようにする書式。
参考 https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-001117.html
中国
(1) 貿易権(対外貿易流通経営者権)の制度は廃止、自由貿易へ。
2001年にWHO加盟にともない、2004年にそれまでの登録制から申請届け出制に変更。2022年12月にはそれも廃止。
CRコード:Customs Registration Code 中国の輸出入事業者コード
(2) 州、都市ごとに貿易手続きの運用が異なる場合がある。
(3) 貿易形態
一般貿易
加工貿易
①来料加工(材料を無料提供し、加工賃を払う)
②進料加工(中国企業が自ら調達した材料を保税地域で加工し輸出)
(4) 中国での輸入時の税金
① 輸入関税
② 消費税 (一定のし好品、贅沢品に課税)
③ 輸入増値税 (付加価値税)
(5) 中国での輸入時の規制
① 木箱梱包規制
② 三検: 中国で農林水産物・食品を輸入する際には、動植物検疫、商品検査、衛生検査という『三検』を受けなければならない。これらの業務は検験検疫局が実施。
③ 工業製品
中国国家認証認可監督管理委員会(CNCA)の国家規格(GB規格)への適合性検査(by中国政府認定試験機関) → CCC認証 取得
(6) 中古品規制:中古機電製品、古紙・廃プラなど。
(7) 中国での輸入関税
① 輸入関税
② 消費税(高級品、贅沢品)
③ 輸入増値税
(8) 知財対策
商標出願 o/w すぐにパクられる
EU
CEマーク
・CEマークは、製品がEUの安全、健康、環境に関する基準に適合していることを示すマークであり、主に電気製品や機械製品など、人身や財産に危害を及ぼす可能性のある製品が対象となる。
・CEマークの対象は「最終製品」。部分品や組込品は対象外。(本体の部品であっても、一般に販売される交換部品はCEマークの対象となる。)
・EU指令(EU Directiveとか、ニューアプローチ指令ともいう)とは、EUで販売される製品やサービスが満たすべき安全性などの重要な要件を定めた法律。
・CEマークは、EU域内で流通させようとする商品に適用されるEU指令に適合していることを示すマーク。適合宣言を行った企業が自ら表示するものであって、"第3者のCEマーク認定"という性質のものではない。
・製品ジャンルごとに定められたEU指令において、その中でCEマークの表示が規定されている。
・製品名が先に有って、この製品にはこのEU指令が対応する、といった書き方はされていないのが悩ましい。
・主なEU指令には次のようなものがある
New legislative framework - European Commission
(europa.eu)
例えば機械指令では、
対象となる機械については具体的な製品名ではなく、機能に基づいて定義している。
Article 3
Definitions
For the purposes of this Regulation, the following definitions apply:
(1) ‘machinery’ means:
(a) an assembly, fitted with or intended to be fitted with a drive system other than directly applied human or animal effort, consisting of linked parts or components, at least one of which moves, and which are joined together for a specific application;
CEマークについては、
Article 15
Obligations of distributors of machinery and related products
1. When making machinery or a related product available on the market, distributors shall act with due care in relation to the requirements of this Regulation.
2. Before making machinery or a related product available on the market, distributors shall verify that:
(a) the machinery or related product bears the CE marking;
と規定している。
ある製品に該当するEU指令は一つだけとは限らない。たとえば電気電子機器の場合、LVD低電圧指令とEMC指令などに該当するが、どの指令に該当するかを判断するのはメーカー自身。
安全性への危惧が低くCEマークの表示が求められない場合でも、一般製品安全指令 (Directive 2001/95/EC)
の対象とはなる。
https://www.iri-tokyo.jp/site/tiri-news/202305-03-shien.html
EU指令の中には、CEマークの表示を求めていないものもあるが、当然遵守は必要である。
整合規格
整合規格 (Harmonised Standards)は技術的な詳細を提供するもので、この規格に従って設計製造することで、EU Directiveの要件を満たすことが容易になる。
https://single-market-economy.ec.europa.eu/single-market/european-standards/harmonised-standards_en
各指令では適合性評価を行う方式を規定している。
自己宣言が認められる場合と、リスクの高い製品については認定認証機関(NB:Notified Body)による適合性証明が求められる場合もある。
各指令ではまた、準備しておくべき技術資料などの種類も規定している。必要な資料を準備し「適合宣言書」を作成して所定のデザインのCEマークを貼り付けることにより、EUでの流通が可能となる。認定認証機関(NB)による適合確認がなされた場合は、NBの番号付記する。
製品上市後は一般製品安全指令 (Directive 2001/95/EC)に基づき、消費者危害などの危険を認識した場合に対応を求められるほか、EU当局によりEUメンバー国に伝えられる。
CEマーク対象製品についてEU当局からの照会等に対応するため、EU域外のメーカー等は「EU認定代理人」(Authorised Representative)をEU域内設置する必要がある。これば商売上の代理店のことではなく、CEマークに関する事務連絡窓口。多くは現地法人や現地のディストリビューターとなるが、現地にツテの無い場合はEU認定代理人サービスを提供している弁護士事務所や民間企業などに依頼する。