L/Cの種類

取消不能信用状・取消可能信用状
UCP600では全ての信用状は取消不能信用状 (Irrevocable L/C) となっている。

(20130810)

確認信用状 Confirmed L/C

(1) L/C発行銀行自体の資金力や信用状況に懸念がある場合に、L/C発行銀行が依頼して他の銀行(確認銀行)が、そのL/Cによる支払いを確認したもの。L/C発行銀行が倒産してもL/C通りの書類を提示すれば確認銀行が支払ってくれる。 
L/CのConfirmation Instruction欄に「CONFIRM」や「MAY ADD」と記載されている。

「CONFIRM」は通知銀行にCONFIRMを求めているもので、通知銀行がCONFIRMをつけてL/C到着を受益者に通知する。

「MAY ADD 」は受益者(輸出者) の指示があればコンファームを付与してもよいとするもの。

これらはコンファームする旨がオモテに出てるので、オープンコンファーム。

 

(2) L/CのConfirmation Instruction欄の記載が WITHOUT となっているものが未確認信用状(Unconfirmed L/C)。(20160412)

 

(3) 信用状発行銀行から頼まれてもいないのに、受益者の取引銀行などが Confirmed L/C を更にConfirmしたり、Unconfirmed L/Cに確認をつけることを サイレントコンファームという。Unconfirmed L/Cに確認をつけてくれる銀行は、滅多にいないのではないか。 (20160412)

 

償還請求権付信用状 With Recourse Credit
手形振出人(輸出者)が償還義務を負う信用状。手形の名宛人(輸入者)が、何らかの理由で輸出者が降り出した手形の支払いをしなかった場合、手形の振出人(輸出者)はL/Cをネゴして手形を買い取ってもらったお金(買取銀行からの変わり金)を、買取銀行へ返す(償還する)義務がある信用状。

日本では手形法上、振出人に対する償還請求権を認めており、輸出者が取引銀行に差し入れる「外国向為替手形取引約定書」にも、輸出者の手形買戻債務が規定されている。

Without Recourse Creditは、輸入者側で支払いがなされなかった場合、Without Recourse の文言が無効となり、With Recourse として取り扱われ、買取銀行からは買戻し請求される。(20130810)

 

UPAS L/C

ユーザンス付きL/Cでは期間満了後に入金となるが、ユーザンス期間中に輸入者が倒産したらL/C発行銀行はディスクレを探して支払いを渋る恐れがあるし、そもそも銀行が倒産する恐れもある。

そこでフォーフェイトや貿易保険などでリスクヘッジをするが、UPAS L/Cという方法もある。

UPASとは “Usance Payable at Sight”。

輸出者への支払いはL/C発行銀行の手形引き受け後に行われ、輸出者からみるとat sightと同じ扱いとなる。

輸入者がL/C発行銀行へ支払うのはユーザンス期間経過後。

L/C発行銀行の協力が必要で、L/Cには例えば、

42A   Drawee :  L/C Opening Bank

47A Additional Conditions : Once the drafts are accepted, L/C opening bank will pay the proceeds at sight basis to the beneficiary. 

というような記載がされる。

譲渡可能信用状

・L/C金額の全部または一部を第三者に譲渡することを認めている信用状。

例えば輸出者Aが、仕入れ先B社から仕入れて輸出する際、その仕入れ資金が調達できない場合、L/Cの一部を当該仕入れ先B社に譲渡して、当該B社自らがそのL/Cを使って輸出する場合などに利用する。B社は自社名義で荷為替手形を発行しL/C発行銀行から自社出荷分の貨物代金を支払ってもらえる。ただし、輸出者Aは仕入れ先B社に、自社の売り先や、乗せたマージンを知られてしまう。

・B社に譲渡した部分をもともとのBeneficiallyであるA社に返却してもらうこと(Re-transfer)は可能。

なお、B社がさらに他のC社など第三者に譲渡はできない。

 ・B社の他に、C社にも譲渡されたのちL/CアメンドがされたがB社はアメンドを拒否、C社はアメンドを承認した場合、C社にのみアメンドの効果が生じる。(UCP 38条f)

 

オープン信用状

受益者(輸出者)はどの銀行でも買取に持ち込むことができる。

Standby L/C (スタンドバイ L/C)

(1) 海外進出先子会社が現地の銀行から資金借り入れを行う場合の金融支援策として用いる場合。

発行依頼者は親会社、受益者は融資をする現地金融機関。

→海外進出の項を参照

(2) 貿易取引の決済手段として利用する場合

輸入者が取引銀行にスタンドバイL/Cの依頼し、輸出者を受益者として発行する。

輸入者からの発注にしたがって輸出者は船積みし、輸入者にInvoiceを発行するOpen Accountの取引となる。発注ごとに個別のL/Cを開く手間を省くことができる。輸入者の支払いが遅れたり支払い不能になった場合、輸出者は荷為替手形を振出してL/C開設銀行(この例では輸入者の取引銀行)に持込んで代金回収を図ることができる。