輸出貿易管理令 別表第一の 16の項の貨物は、キャッチオール規制対象貨物

 

1.  対象貨物

輸出貿易管理令別表第1の16の項の貨物の記載は、1の項~15の項とは異なり「関税定率法別表第25類から第40類まで、第54類から第59類まで、第63類、第68類から第93類まで又は第95類に該当する貨物(一から一五までの項の中欄に掲げるもの(=リスト規制貨物)を除く)」と書かれている。

 

これは、いわゆるキャッチオール規制対象品目である。つまり、食料品、木材等(通常兵器の開発等や大量破壊兵器の開発等との関連性が乏しい)以外のもの全てがキャッチオール規制の対象貨物となる。

ほぼすべて(all)の品目をとらえて(catch) 管理するため、キャッチオール規制と言われている。(「キャッチオール」自体は法令の用語ではない。)

https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/tutatu/t07sonota/t07sonota_kanzeiteiritu.pdf

 

逆に言えば、

第1類から24類、第41類~53類、第60類~第62類、第64類~第67類、第94類、第96類、第97類はキャッチオール規制対象貨物ではない。→許可申請不要

      

キャッチオール規制対象貨物である

      ↓

仕向地によって、対応が異なる

 

2. 対象地域

輸出貿易管理令別表第1の16の項の「地域」の欄を見ると、「全地域」とはあるが、「(別表第3に掲げる地域を除く)」とある。

  貨物 地域

 関税定率法別表第二五類から第四〇類まで、第五四類から第五九類まで、第六三類、第六八類から第九三類まで又は第九五類に該当する貨物(一から一五までの項の中欄に掲げるものを除く。  全地域(別表第三に掲げる地域を除く。)

(1) 別表第3地域国向けはキャッチオール規制対象外 →許可申請不要

キャッチオール規制対象貨物であっても、輸出貿易管理令 別表第3に掲げる地域に輸出する場合は、経済産業大臣の許可は不要。

 

別表第3に 掲げる地域:

アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア

カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス

ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア

大韓民国、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー

ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス

英国、アメリカ合衆国

 

これらは一般的に「グループA国」それ以前は「ホワイト国」とも言われている。 

リスト規制対象貨物であっても、輸出先が別表第3地域国であれば、それらの国は安全保障貿易管理体制が整っているため大きな懸念は無いとして、経済産業大臣の許可が求められていない。

(2) 別表第3地域向けじゃない "一般の国" 向けの場合は、「貨物が大量破壊兵器用途に使われる懸念」(用途要件)、「貨物の需要者が大量破壊兵器とのつながりの懸念」(需要者要件) があれば、許可必要。(また、経産省から許可申請しろと通知があった場合も)

 

別表第3地域国ほどではないものの、いわゆる "一般的な国々" 向けにキャッチオール規制対象貨物を輸出する場合は、一定の懸念事項が無ければ経済産業大臣の許可は不要とされている。

 

経産省は具体的な国名を列挙していないが、中国、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム、メキシコ、ペルーなど、ある意味「一般的な国々」。 

 

一定の懸念事項とは、輸出貿易管理令のイ、ロ、ニ に該当するケースであり、これに該当する場合は、輸出許可が必要となる。

輸出貿易管理令 

 第4条 法第48条第1項の規定(メモ:全品目全地域に輸出許可を求める)は、次に掲げる場合には、適用しない。ただし、別表第一の1の項の中欄に掲げる貨物(武器)については、この限りでない。

(中略)

三 別表第一の16の項に掲げる貨物を同項の下欄に掲げる地域(メモ:全地域から別表大さ地域国を除く地域)を仕向地として輸出しようとする場合であつて、イ、ロ及びニのいずれの場合にも該当しないとき(には輸出許可不要)

イ その貨物が核兵器等の開発等(開発、製造、使用又は貯蔵)のために用いられるおそれがある場合として経済産業省令(核兵器等開発等省令)で定めるとき。(に該当しなければ許可不要)

 その貨物が核兵器等の開発等(開発、製造、使用又は貯蔵)のために用いられるおそれがあるものとして経済産業大臣から許可の申請をすべき旨の通知を受けたとき。(に該当しなければ許可不要)

(メモ:ハ は一般的な国向けには適用されない)

ニ その貨物が別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物の開発、製造又は使用のために用いられるおそれがあるものとして経済産業大臣から許可の申請をすべき旨の通知を受けたとき。(に該当しなければ許可不要)

 

(3) 別表第3の2国向け(国連武器禁輸国向け)にキャッチオール規制対象品目を輸出する場合は、

「貨物が大量破壊兵器用途に使われる懸念」(用途要件)、「貨物の需要者が大量破壊兵器とのつながりの懸念」(需要者要件) 、「貨物が通常兵器用途に使われる懸念」があれば、許可必要。

(また、経産省から許可申請しろと通知があった場合も)

 

別表第3の2国  
アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、
ソマリア、南スーダン、スーダン

輸出貿易管理令のイ、ロ、ハ、ニのケースに該当する場合、輸出許可が必要となる。

輸出貿易管理令 

 第4条 法第48条第1項の規定(メモ:全品目全地域に輸出許可を求める)は、次に掲げる場合には、適用しない。ただし、別表第一の1の項の中欄に掲げる貨物(武器)については、この限りでない。

(中略)

三 別表第一の16の項に掲げる貨物を同項の下欄に掲げる地域(メモ:全地域から別表大さ地域国を除く地域)を仕向地として輸出しようとする場合であつて、イ、ロ及びニのいずれの場合にも該当しないとき(には輸出許可不要)

イ その貨物が核兵器等の開発等(開発、製造、使用又は貯蔵)のために用いられるおそれがある場合として経済産業省令(核兵器等開発等省令)で定めるとき。(に該当しなければ許可不要)

 その貨物が核兵器等の開発等(開発、製造、使用又は貯蔵)のために用いられるおそれがあるものとして経済産業大臣から許可の申請をすべき旨の通知を受けたとき。(に該当しなければ許可不要)

 その貨物が別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物(核兵器等に該当するものを除く。ニにおいて同じ。)の開発、製造又は使用のために用いられるおそれがある場合として経済産業省令(通常兵器開発等省令)で定めるとき。(に該当しなければ許可不要)

ニ その貨物が別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物の開発、製造又は使用のために用いられるおそれがあるものとして経済産業大臣から許可の申請をすべき旨の通知を受けたとき。(に該当しなければ許可不要)

 

「核兵器等」の定義 は輸出貿易管理令の「仮陸揚げ貨物」の部分に規定されている。

 (特例)第四条 法第四十八条第一項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。ただし、別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物については、この限りでない。

一 仮に陸揚げした貨物のうち、本邦以外の地域を仕向地とする船荷証券(航空貨物運送証その他船荷証券に準ずるものを含む。)により運送されたもの(第三号及び第四号において「外国向け仮陸揚げ貨物」という。)を輸出しようとするとき(別表第三に掲げる地域以外の地域を仕向地として輸出しようとする場合にあつては、次に掲げるいずれの場合にも該当しないときに限る。)。

イ その貨物が核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置又はこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機であつてその射程若しくは航続距離が三百キロメートル以上のもの(ロ、第三号及び第十四条において「核兵器等」という。)の開発、製造、使用又は貯蔵(ロ及び同号において「開発等」という。)のために用いられるおそれがある場合として経済産業省令で定めるとき。

覚え方

   仕向け先 別表第3   一般国          国連武器禁輸   
16の項の輸出貨物が大量破壊兵器へ転用の懸念 -  

大量破壊兵器についてInfo   -   ロ  
16の項の輸出貨物が通常兵器へ転用の懸念 - -
通常兵器についてInfo - 二   

これをもう少し詳しく書くと、

   仕向け先 別表第3    一般国 国連武器禁輸

・16の項の貨物が大量破壊兵器(WMD)開発、別表行為の用途に用いられる

・需要者がWMD開発してる

(WMD開発しててもそれ以外に用いられることが明らかGLで潔白なら許可不要)

(外国ユーザーリスト掲載は需要者要件該当だが、明らかGLでWMD以外への使用が明らかなら許可不要。)

(外国ユーザーリストの懸念区分と貨物の懸念用途が一致する場合はWMD以外に使用と言えず許可必要)

・WMD用途:許可必要

・WMD関与需要者:許可必要      

・WMD用途:許可必要

・WMD関与需要者:許可必要      

Info 許可必要 許可必要
16の項の貨物が通常兵器開発の用途に用いられる 通常兵器用途:許可必要
Info ー   許可必要 許可必要

たとえば、一般的な不織布マスクのHSコードは6307.90。

  • 63類に属するため、キャッチオール規制の対象品目である。
  • 別表第3国へ輸出する場合、経済産業大臣の許可は不要。
  • 一般国へ輸出する場合、その不織布マスクが細菌製剤工場で使われると輸入者から連絡があった場合(用途要件に該当)や、その不織布マスクの輸入者のホームページに細菌製剤の開発を行っていると書いてある場合(需要者要件に該当)には、経済産業大臣の許可が必要。(
    後者の需要者要件該当の場合、輸出する不織布マスクが
    が細菌兵器製造以外に用いられることが「明らかガイドライン」により明らかなときは、経済産業大臣の許可は不要。
  • 経済産業大臣から、輸出する不織布マスクが細菌製剤の製造に使われる恐れがあるとか、戦車の製造に使われる恐れがあると通知(インフォーム)してきたときは、経済産業大臣の輸出許可が必要となる。(ロ・二)

核兵器等開発等省令(おそれ省令)

 

輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令

には「輸出貿易管理令第4条第1項第三号規定に基づき、輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合とは、次に掲げるときとする。」と書かれ、下記一号~三号が示されている。

 

<用途要件>

一 そのキャッチオール規制対象貨物の輸出に関する契約書若しくは輸出者が入手した文書、図画若しくは電磁的記録において、当該貨物が核兵器軍用の化学製剤若しくは(メモ:軍用の)細菌製剤若しくはこれらの(メモ:軍用の化学製剤、軍用の細菌製剤)散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機であってその射程若しくは航続距離が300Km以上のもの(核兵器等)の開発、製造、使用若しくは貯蔵(開発等)若しくは別表行為(*) の用途にされる旨記載され、若しくは記録されているとき (核兵器等開発等省令1号前段) (メモ:核兵器等=大量破壊兵器等)

又は

輸出者が、当該貨物が核兵器等の開発等若しくは別表に掲げる行為の用途にされる旨輸入者若しくは需要者若しくはこれらの代理人(輸入者等)から連絡を受けたとき。(核兵器等開発等省令1号後段)

 

<需要者要件>

二 そのキャッチオール規制対象貨物の輸出に関する契約書若しくは輸出者が入手した文書等のうち経済産業大臣が告示で定めるもの(*文書等告示)において、当該貨物の需要者が核兵器等の開発等をう旨記され、若しくは記録されているとき、(核兵器等開発等省令2号前段)

又は

輸出者が、当該貨物の需要者が核兵器等の開発等を行う旨輸入者等から連絡を受けたとき(核兵器等開発等省令2号後段)

(当該貨物の用途並びに取引の条件及び態様から、当該貨物が核兵器等の開発等及び別表に掲げる行為以外のために用いられることが明らかなときを除く。)(メモ:明らかに行為以外用途に用いられるとき→「明らかガイドライン」)

 

<需要者要件>

三 そのキャッチオール規制対象貨物の輸出に関する契約書若しくは輸出者が入手した文書等のうち経済産業大臣が告示で定めるもの(*文書等告示)において、当該貨物の需要者が核兵器等の開発等を行った旨記載され、若しくは記録されているとき、(核兵器等開発等省令3号前段)

又は

輸出者が、当該貨物の需要者が核兵器等の開発等を行った旨輸入者等から連絡を受けたとき(核兵器等開発等省令3号後段)

(当該貨物の用途並びに取引の条件及び態様から、当該貨物が核兵器等の開発等及び別表に掲げる行為以外のために用いられることが明らかなときを除く。)(メモ:明らかに行為以外用途に用いられるとき→「明らかガイドライン」)

 

需要者要件については、当該貨物の用途並びに取引の条件及び態様から、当該貨物が核兵器等の開発等及び別げる行為以外のために用いられることが明らかなときは経済産業大臣の許可は不要とされ、「明らかなとき」とは「補完規制通達」の1(6)に書いてある「明らかガイドライン」に示されている。)

 

(メモ:▼Q1:質問 たまたまテレビを見ていて、懸念情報を知った場合は客観要件に当たりますか。

▲A1:回答 該当しません。但し、そのような客観要件にあたらない場合であっても、懸念を知った場合は、是非当省にご相談下さい。

 

(メモ:▲A15:回答 (改) 会社案内やホームページを見ると、最終需要者が軍用品、原子力、航空宇宙関係事業を実施している、又はこれらの事業を実施する企業と取引を行っていることなど(以下、「要注意事業」という。)であることが判明した場合は、最終需要者の事業の更なる調査や輸出される貨物がどのような製造ラインで使われるのか確認する必要などがあるため、輸出される貨物が設置されるフロアのレイアウト(品質管理室を含む)、他のラインや機器・設備類との位置関係(既納機がある場合は、その情報を含む)が確認できるレイアウト、及びそのレイアウトを確認するための参考として、製造フロー図の添付を求めることがあります。

*文書等告示

輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令第二号及び第三号の規定により経済産業大臣が告示で定める輸出者が入手した文書等を次のとおり定めている。

一 その貨物の輸出に関し、輸入者等から入手したパンフレット又は最終製品のカタログ及びその他の輸出者が入手した文書等

二 輸出貿易管理令第4条第1項第三号イに規定する核兵器等の開発等の動向に関し、経済産業省が作成した文書等 (外国ユーザーリスト)

三 前二号に掲げるもののほか、その貨物の輸出に際して、輸出者がその内容を確認した文書等 

 

補完規制通達 (大量破壊兵器等及び通常兵器に係る補完的輸出規制に関する輸出手続等について)

 

1.輸出者が確認すべき事項

輸出者は、貨物の輸出又は技術の提供を行おうとする際には、1から15までのリスト規制に該当するかどうかの確認(該非確認)を実施し、非該当と判断した場合は、以下の(1)から(6)の事項について確認を行い、補完的輸出規制に係る許可申請が必要か否かを判断しなければならない。

 

(1) 貨物又は技術の確認

輸出しようとする貨物又は提供しようとする技術が、以下の①又は②のいずれかに該当するかを確認し、該当する場合は(2) の確認を行うこと。該当しない場合は、補完的輸出規制に係る許可申請を行う必要はない。

①当該貨物が輸出令別表第1の16の項の中欄に掲げるものであるとき

②当該技術が外為令別表の16の項の中欄に掲げるものであって、当該技術を内容とする情報が記載され、若しくは記録された文書、図画若しくは記録媒体の提供又は電気通信による当該技術を内容とする情報の送信を伴うものであるとき

 

(2) 仕向地等の確認

 貨物を輸出しようとする場合にあっては、その仕向地が輸出令別表第3に掲げる地域以外であるかを確認し、該当する場合は(3)、(4)及び(5)の確認を行うこと。

技術を提供しようとする場合にあっては、①その提供地が輸出令別表第3に掲げる地域以外の外国であるか又は②提供を受ける者が輸出令別表第3に掲げる地域以外の非居住者であるかについて確認し、いずれかに該当する場合には、貨物の輸出の場合と同様に、(3)、(4)及び(5)の確認を行うこと。

また、技術の提供を目的とする取引に関して、a)外為令別表の 16 の項の中欄に掲げる技術(以下「特定技術」という。)を内容とする情報が記載され、若しくは記録された文書、図画若しくは記録媒体を輸出令別表第3に掲げる地域以外に輸出しようとするとき又は b)輸出令別表第3に掲げる地域以外において受信されることを目的として行う電気通信による特定技術を内容とする情報の送信を行おうとするときについても、同様に(3)、(4)及び(5)の確認を行うこと。

なお、該当しない場合は、補完的輸出規制に係る許可申請を行う必要はない。

 

(3) おそれの強い貨物例の懸念用途

下記に掲載する貨物は、国際輸出管理レジームの合意に基づき定めた規制リスト品目に該当しないもののうち核兵器等の開発等に用いられるおそれが特に強い貨物の例である。したがって、これらの貨物を輸出又はこれらの貨物に関する技術を提供する際には、懸念相手先等における核兵器等の開発等を助長することがないよう、輸出者等において(4)及び(5)の用途・需要者の確認を特に慎重に行うこと。該当しない場合であっても、(4)及び(5)の確認を行うこと。

外国ユーザーリスト

輸出者は、本リストを入手し、輸出する貨物等のユーザーが本リストに掲載されている場合には、当該貨物の用途、取引の態様・条件についてチェックし、大量破壊兵器等の開発などに用いられないことが明らかでない場合には、経済産業省への輸出許可申請が必要となる。https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/tutatu/t04shinsei/t04shinsei_ulkohyo.pdf

 

外国ユーザーリストに掲載されている企業・組織向けの取引については、リストに記載されている当該需要者の関与が懸念されている大量破壊兵器の種別(核兵器、生物兵器、化学兵器、ミサイル)と、輸出する貨物等の懸念される用途の種別(1の(3 ))に掲げる 核兵器等の開発等に用いられるおそれの強い貨物例等を参考に、輸出しようとする貨物等の特性から判断すること。)が一致しないこと。(メモ:一致すれば用途要件アリとされる。)

(メモ:外国ユーザーリストに載っているだけで需要者要件に該当するわけではない。輸出貨物が補完規制通達中の恐れの強い貨物のリストに掲載されており、そこに記された貨物の懸念用途と外国ユーザーリストに記された需要者の懸念区分が一致した場合は、輸出許可が必要となる。)

例 ⑰ 中国の西北工業大学にクレーン車を輸出する場合、クレーン車の懸念用途がミサイルであり、西北工業大学の懸念区分に「ミサイル」とある場合は、輸出するクレーン車が輸入者の西北工業大学でミサイル以外の用途に使われないことが明らかとは言えない。

(4) 用途の確認

1)核兵器等

輸出しようとする貨物又は提供しようとする技術が、以下の①、②又は③のいずれかに該当するかを確認し、該当する場合は許可申請が必要な輸出又は提供であるため、4.の申請手続きに従い申請を行い、許可を受けなければ、当該輸出又は提供をすることができない。

なお、該当しない場合は(5)の確認を行うこと。輸出しようとする貨物又は提供しようとする技術が、輸出令別表第3の2に掲げる地域を仕向地等とする場合は、2)の確認も併せて行うこと。

① 当該貨物が、「輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令」(平成 13 年経済産業省令第 249 号。以下「核兵器等開発等省令」という。)の第一号の規定(核兵器等の開発等又は同省令の別表に掲げる行為に用いられるとき)に該当にするとき。

② 当該技術が、「貿易関係貿易外取引等に関する省令第9条第2項第七号イの規定により経済産業大臣が告示で定める提供しようとする技術が核兵器等の開発等のために利用されるおそれがある場合」(平成 13 年経済産業省告示第 759 号。以下「核兵器等開発等告示」という。)の第一号の規定(核兵器等の開発等又は核兵器等開発等省令の別表に掲げる行為に用いられるとき)に該当するとき。

③ 上記②の取引に関して、a)特定技術を内容とする情報が記載され、若しくは記録された文書、図画若しくは記録媒体を輸出令別表第3に掲げる地域以外に輸出しようとするとき又は b)輸出令別表第3に掲げる地域以外において受信されることを目的として行う電気通信による特定技術を内容とする情報の送信を行おうとするとき。ただし、上記②の許可を受けている場合には、この限りではない。

 

核兵器開発等告示別表行為

メモ:おそれ省令の別表に掲げられている行為。大量破壊兵器の開発等と直接は関係無いが、関連性の強い行為。) そのキャッチオール規制対象貨物の輸出に関する契約書若しくは輸出者が入手した文書、図画若しくは電磁的記録において、当該貨物が下記の用途にされる旨記載され、若しくは記録されているとき (核兵器等開発等省令1号前段) は許可必要。

別表

一 原子力基本法第三条第二号に規定する核燃料物質若しくは同条第三号に規定する核原料物質の開発等(沸騰水型軽水炉若しくは加圧水型軽水炉(以下「軽水炉」という。)の運転に専ら付帯して行われるものであることが明らかにされている場合を除く。)又は核融合に関する研究(専ら天体に関するもの又は専ら核融合炉に関するものであることが明らかにされている場合を除く。)

二 輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令(平成三年通商産業省令第四十九号)第一条第二号に規定する原子炉(発電の用に供する軽水炉を除く。)又はその部分品若しくは附属装置の開発等

三 重水の製造

四 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「規制法」という。)第二条第九項に規定する加工

五 規制法第二条第十項に規定する再処理

六 化学物質の開発若しくは製造(経済産業大臣が告示(*)で定めるものを除く。)、微生物若しくは毒素の開発等、ロケット若しくは無人航空機(本則第一号に規定する核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置を運搬することができるものであってその射程若しくは航続距離が三百キロメートル以上のものを除く。)の開発等又は宇宙に関する研究(経済産業大臣が告示(*)で定めるものを除く。)であって、軍若しくは国防に関する事務をつかさどる行政機関が行うもの若しくはこれらの者から委託を受けて行うことが明らかにされているもの。

 (メモ:16の項の貨物が航続距離が300Km以上の無人航空機の開発に使われる場合は(その用途が気象用であっても)おそれ省令に該当し、その16の項の貨物を輸出するには輸出許可が必要。一方300Km未満の無人航空機の開発等に使われる場合は需要者が軍からの委託を受けている場合は別表行為6号に該当し、輸出許可が必要。)

 

(*)輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令別表第六号の規定により経済産業大臣が告示で定める化学物質の開発又は製造及び宇宙に関する研究

経済産業省告示第761号 平成13年12月28日

メモ:この部分はキャッチオール規制の対象となる別表行為の第6号から除かれる事例を列挙しているが、表現が2重否定みたいになっていて非常に分かりにくい。

要は、輸出する16項の貨物に関する契約書若しくは輸出者が入手した文書、図画若しくは電磁的記録において、当該貨物が下記の用途にされる旨記載され、若しくは記録されているとき、かつ、軍若しくは国防に関する事務をつかさどる行政機関が行うもの若しくはこれらの者から委託を受けて行うことが明らかにされている場合は、輸出許可が必要。

・輸出貿易管理令別表第1の3の項(1) 「軍用の化学製剤の原料となる物質又は軍用の化学製剤と同等の毒性を有する物質若しくはその原料となる物質として経済産業省令で定めるもの」の開発又は製造、

・化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律施行令別表に掲げる物質の開発又は製造、

・農薬(殺菌剤を含む。)、肥料又は殺虫剤の開発又は製造

 

輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令別表第六号の規定により経済産業大臣が告示で定める化学物質の開発又は製造及び宇宙に関する研究は次のとおりとする。

一 経済産業大臣が告示で定める化学物質の開発又は製造とは、化学物質の開発又は製造であって、次のいずれにも該当しないことが明らかなものをいう。

1 輸出貿易管理令別表第1の3の項(1)の中欄に掲げる貨物又は化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律施行令別表に掲げる物質の開発又は製造

2 農薬(殺菌剤を含む。)、肥料又は殺虫剤の開発又は製造

(メモ:グループA以外に輸出しようとする貨物が農薬の製造に用いられると連絡があった場合は別表行為に該当し、用途要件に引っかかり、輸出許可申請が必要。)

二 経済産業大臣が告示で定める宇宙に関する研究とは、宇宙に関する研究であって、専ら天文学に関するものであることが明らかなものをいう。

 

 

2)通常兵器

輸出しようとする貨物又は提供しようとする技術の仕向地等が輸出令別表第3の2に掲げる地域である場合は、以下の①、②又は③のいずれかに該当するかを確認し、該当する場合は許可申請が必要な輸出又は提供であるため、4.の申請手続きに従い申請を行い、許可を受けなければ、当該輸出又は提供をすることができない。なお、該当しない場合は、3.(2)の経済産業大臣からの通知があった場合を除き、通常兵器に係る補完的輸出規制に係る許可申請を行う必要はない。

当該貨物が、「輸出貨物が輸出貿易管理令別表第1の1の項の中欄に掲げる貨物(核兵器等に該当するものを除く。)の開発、製造又は使用のために用いられるおそれがある場合を定める省令」(平成 20 年経済産業省令第 57 号。以下「通常兵器開発等省令」という。)の規定に該当するとき

② 当該技術が、「貿易関係貿易外取引等に関する省令第9条第2項第七号ハの規定に基づく経済産業大臣が告示で定める提供しようとする技術が輸出貿易管理令別表第1の1の項の中欄に掲げる貨物(同令第4条第1項第一号イにおいて定める核兵器等に該当するものを除く。)の開発、製造又は使用のために利用されるおそれがある場合」 (平成 20 年経済産業省告示第 187 号。以下「通常兵器開発等告示」という。)の規定に該当するとき。

③ 上記②の取引に関して、a)特定技術を内容とする情報が記載され、若しくは記録された文書、図画若しくは記録媒体を輸出令別表第3の2に掲げる地域に輸出しようとするとき又は b)輸出令別表第3の2に掲げる地域において受信されることを目的として行う電気通信による特定技術を内容とする情報の送信を行おうとするとき。ただし、上記②の許可を受けている場合には、この限りではない。

 

(5)需要者の確認

輸出しようとする貨物の需要者又は提供しようとする技術を利用する者が、以下の①又は②のいずれかに該当するかを確認し、該当する場合は(6)の確認を行うこと。

なお、該当しない場合は、3.の経済産業大臣からの通知があった場合を除き、核兵器等に係る補完的輸出規制に係る許可申請を行う必要はない。

① 当該貨物の需要者が、核兵器等開発等省令に規定する核兵器等の開発等を行う又は行ったことを知ったとき

② 当該技術を利用する者が、核兵器等開発等告示に規定する核兵器等の開発等を行う又は行ったことを知ったとき

 

(6) 需要者が大量破壊兵器等の開発等を行っている、または行っていた場合でも、輸出する貨物が大量破壊兵器の開発等に用いられないことが「明らかなとき」を判断するためのガイドライン

明らかガイドライン (補完規制通達 1(6)) 需要者要件の判断)

 輸出者又は取引を行おうとする者(以下「輸出者等」という。)が、核兵器等開発等省令第二号及び第三号又は核兵器等開発等告示第二号及び第三号に規定する「明らかなとき」(以下「明らかなとき」という。)を判断するためのガイドラインを以下のとおり提示する。なお、経済産業省は、輸出者等が本ガイドラインに基づき貨物の輸出又 は技術の提供に際し厳正に審査を行うことを推奨する。

 輸出者等は、「明らかなとき」を判断するに当たり、以下に掲げる事項(輸出する貨物等の用途並びに取引の条件及び態様からあてはまらない事項は除く。)を確認するこ と。

 輸出者等は、通常の商慣習の範囲で取引相手等から入手した文書その他の情報によ って確認を行うこととし、入手した文書その他の情報のうち自らにとって都合の悪いものに対し目隠しをしないこと。 確認の結果に疑義がある場合には商談を進める前に疑問点の解決に努めること。確 認の結果、当該輸出又は提供が「明らかなとき」と判断できない場合には許可申請が必 要であるため、4.の申請手続きに従い申請を行い、許可を受けなければ、当該輸出又 は提供をすることができない。なお、判断が困難な場合には、必要に応じ経済産業省貿 易経済協力局貿易管理部安全保障貿易審査課(以下「安全保障貿易審査課」という。) に相談することができる。 

  

[貨物等の用途・仕様]

①輸入者、需要者又はこれらの代理人から当該貨物等の用途に関する明確な説明があること。

②需要者の事業内容、技術レベルからみて、当該貨物等を必要とする合理的理由があること。

 

[貨物等の設置場所等の態様・据付等の条件]

③当該貨物等の設置場所又は使用場所が明確であること。

④当該貨物等の設置場所又は使用場所が軍事施設内若しくは軍事施設に隣接している地域又は立ち入りが制限されている等の高度の機密が要求されている地域である場合は、その用途に疑わしい点があるとの情報を有していないこと。

⑤当該貨物等の輸送、設置等について過剰な安全装置・処置が要求されていないこと。

 

[貨物等の関連設備・装置等の条件・態様]

⑥当該貨物等が使用される設備や同時に扱う原材料についての説明があること。

⑦当該貨物等及び当該貨物等が使用される設備や同時に扱う原材料の組合せが、当該貨物等の用途に照らして合理的、整合的であること。

⑧異常に大量のスペアパーツ等の要求がないこと。

⑨通常必要とされる関連装置の要求があること。

 

[表示、船積み、輸送ルート、梱包等における態様]

⑩輸送時における表示、船積みについての特別の要請がないこと。

⑪製品及び仕向地から見て、輸送ルートにおいて異常がないこと。

⑫輸送時における梱包及び梱包における表示が輸送方法や仕向地などからみて異常がないこと。

[貨物等の支払対価等・保証等の条件]

⑬当該貨物等の支払対価・条件・方法などにおいて異常に好意的な提示がなされていないこと。

⑭通常要求される程度の性能等の保証の要求があること。

[据付等の辞退や秘密保持等の態様]

⑮据付、指導等の通常予想される専門家の派遣の要請があること。

⑯最終仕向地、製品等についての過度の秘密保持の要求がないこと。

 

[外国ユーザーリスト掲載企業・組織]

⑰ 外国ユーザーリストに掲載されている企業・組織向けの取引については、リストに記載されている当該需要者の関与が懸念されている大量破壊兵器の種別(核兵 器、生物兵器、化学兵器、ミサイル)と、輸出する貨物等の懸念される用途の種別 (1.(3)1)に掲げる核兵器等の開発等に用いられるおそれの強い貨物例等を 参考に、輸出しようとする貨物等の特性から判断すること。)が一致しないこと。 

(メモ:外国ユーザーリストに載っているだけで需要者要件に該当するわけではない。輸出貨物が補完規制通達中の恐れの強い貨物のリストに掲載されており、そこに記された貨物の懸念用途と外国ユーザーリストに記された需要者の懸念区分が一致した場合は、輸出許可が必要となる。)

 

⑱ 外国ユーザーリストに掲載されている企業・組織向けの取引については、輸出しようとする貨物又は提供しようとする技術について、軍事用途に用いられる(利用される)旨が、その輸出(取引)に関する契約書又は輸出者(取引を行おうとする者)が入手した文書、図画若しくは電磁的記録において、記載若しくは記録されていないこと、又は輸入者(取引の相手方)若しくは需要者(当該技術を利用する者)若しくはこれらの代理人から連絡を受けていないこと。

 

[その他]

⑲ その他、取引の慣行上当然明らかにすべき事項に関する質問に対して需要者からの明確な説明がないこと等、取引上の不審点がないこと。

 

 通常兵器開発等省令

(輸出貨物が輸出貿易管理令別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物(核兵器等に該当するものを除く。)の開発、製造又は使用のために用いられるおそれがある場合を定める省令)

 

輸出貿易管理令第4条第1項第三号に規定する輸出貨物が同令別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物(同令第四条第一項第一号イにおいて定める核兵器等に該当するものを除く)の開発、製造又は使用(開発等)のために用いられるおそれがある場合は、当該貨物の輸出に関する契約書若しくは輸出者が入手した文書、図画若しくは電磁的記録(文書等)において、当該輸出貨物が同欄に掲げる貨物の開発等のために用いられることとなる旨記載され、若しくは記録されているとき、又は輸出者が、当該輸出貨物が同欄に掲げる貨物の開発等のために用いられることとなる旨輸入者若しくは需要者若しくはこれらの代理人(輸入者等)から連絡を受けたときとする。

 

ただし、次のいずれかに掲げる場合はこの限りでない。

一 当該輸出貨物を用いて開発等される別表に掲げる貨物が産業、娯楽、スポーツ、狩猟又は救命の用に供される旨が文書等に記載され又は記録されている場合であり、かつ、輸出者が同表に掲げる貨物がこれらの用に供される旨輸入者等から連絡を受けている場合

二~九 自衛隊法

十 国際緊急援助隊の派遣に関する法律

十一 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律

(以下略)

別表

一 銃砲若しくはこれに用いる銃砲弾(発光又は発煙のために用いるものを含む。)のうち次に掲げるもの又はこれらの部分品

1 空気銃、散弾銃、ライフル銃若しくは火縄式銃砲又はこれらのものに用いる銃砲弾

2 救命銃、もり銃若しくはリベット銃その他これらに類する産業用銃又はこれらのものに用いる銃砲弾

二 産業用の発破器

 

三 産業用の火薬若しくは爆薬又はこれらの火工品

通常兵器:通常兵器開発等省令の本文 "輸出貿易管理令別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物(同令第四条第一項第一号イにおいて定める核兵器等に該当するものを除く)" から、下記が読み取れる:

(一) 銃砲若しくはこれに用いる銃砲弾(発光又は発煙のために用いるものを含む。)

    若しくはこれらの附属品又はこれらの部 分品

(二) 爆発物(銃砲弾を除く。)若しくはこれを投下し、若しくは発射する装置

    若しくはこれらの附属品又はこれらの部分品

(三) 火薬類(爆発物を除く。)又は軍用燃料

(四) 火薬又は爆薬の安定剤

(五) 指向性エネルギー兵器又はその部分品

(六) 運動エネルギー兵器(銃砲を除く。)若しくはその発射体又はこれらの部分品

(七) 軍用車両若しくはその附属品若しくは軍用仮設橋又はこれらの部分品

(八) 軍用船舶若しくはその船体若しくは附属品又はこれらの部分品

(九) 軍用航空機若しくはその附属品又はこれらの部分品

(十) 防潜網若しくは魚雷防御網又は磁気機雷掃海用の浮揚性電らん

(十一) 装甲板、軍用ヘルメット若しくは防弾衣又はこれらの部分品

(十二) 軍用探照灯又はその制御装置

(十五) 軍用火薬類の製造設備若しくは試験装置又はこれらの部分品

(十六) 兵器の製造用に特に設計した装置若しくは試験装置又はこれらの部分品若しくは附属品

(十七) 軍用人工衛星又はその部分品 全地域 二 次に掲げる貨物であつて、経済産業省令

 

注:下記は核兵器等

(十三) 軍用の細菌製剤、化学製剤若しくは放射性製剤又はこれらの散布、防護、浄化、探知若しくは識別のための装置若しく はその部分品

(十三の二) 軍用の細菌製剤、化学製剤又は放射性製剤の浄化のために特に配合した化学物質の混合物

(十四) 軍用の化学製剤の探知若しくは識別のための生体高分子若しくはその製造に用いる細胞株又は軍用の化学製剤の浄化若 しくは分解のための生体触媒若しくはその製造に必要な遺伝情報を含んでいるベクター、ウイルス若しくは細胞株

 

キャッチオール規制判定の「成果物」

経済産業省のサイトでは「客観要件確認シートを参照のうえ、キャッチオール規制の許可申請が必要か否かを輸出者がご確認ください」として書式を提供している。この書式では最終的に取引可、不可の判定欄がないので、社内規定でこの書式をキャッチオール判定書式として位置付け、取引可否欄などを追加して運用すればよいだろう。

 https://www.meti.go.jp/policy/anpo/kanri/catch-all/catch-all-1/checksheet_tsujoheikifukumu.docx

2. 事前相談

 

3.経済産業大臣から許可申請すべき旨の通知を受けた場合

 

4.申請手続き

(1) 申請窓口 安全保障貿易審査課

(2) 申請に必要な書類

 

5. 輸出貨物等が核兵器等の開発等に用いられる疑いがあること等を輸出者等が知った場合の取扱い

以下に掲げるとおり、核兵器等の開発等又は核兵器等開発等省令中別表に掲げる行為のために輸出貨物等が用いられる疑いがあること等を輸出者等が知った場合には、速やかに、別記2に掲げる記載要領に従い、様式3に定める様式(2通)により、その旨を安全保障貿易審査課に報告すること。

 

なお、報告の内容によっては、輸出令第4条第1項第三号ロ若しくは第四号ロ又は貿易外省令第9条第2項第七号ロ若しくは第八号ロの規定に基づく経済産業大臣からの通知をすることがある。

 

① 輸出令別表第1の16の項の中欄に掲げる貨物を同表下欄に掲げる地域を仕向地とする輸出

(同令第4条第1項第一号及び第二号のいずれにも該当せず、かつ、同項第三号イ及びロ若しくは第四号イ及びロに該当しないものに限る。)をしようとする者は、その貨物が核兵器等の開発等若しくは核兵器等開発等省令の別表に掲げる行為のために用いられることとなることを、輸入者、需要者及びこれらの代理人以外の者からの情報により知った場合

 

②外為令別表の16の項の中欄に掲げる技術を同項下欄に掲げる外国において提供することを目的とする取引若しくは当該外国の非居住者に提供することを目的とする取引又は当該取引に関する当該技術を内容とする情報が記載され、若しくは記録された文書、図画若しくは記録媒体(以下「特定記録媒体等」という。)の輸出若しくは当該技術を内容とする情報の電気通信による送信(貿易外省令第9条第2項第一号から第六号まで又は第九号から第十四号までのいずれにも該当せず、かつ、第七号イ若しくはロ又は第八号イ若しくはロに該当しないもの(特定記録媒体等の提供若しくは電気通信による当該技術を内容とする情報の送信を伴わないものを除く。)に限る。)を行おうとする者は、その技術が核兵器等の開発等若しくは核兵器等開発等省令の別表に掲げる行為のために利用されることとなることを、当該取引の相手方、当該技術を利用する者及びこれらの代理人以外の者からの情報により知った場合

 

6.用語の解釈

(A) 核兵器等開発等省令又は核兵器等開発等告示における用語の解釈

(1)「その貨物の輸出」

その貨物の輸出とは、輸出令別表第1の16の項の中欄に掲げる貨物に該当する貨物に関して、個々の契約毎の輸出をいう。したがって、一度許可をした同一貨物の同一需要者に向けた「再度の輸出」であっても、契約が異なれば新たな許可申請要否判断の対象となる。

 

(2)「輸出者が入手した文書等」

輸出者がその貨物を輸出するにあたっての、個々の契約に限定されず、当該輸出者が輸出の前に入手した全ての文書等(文書、図画若しくは電磁的記録、電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。))をいう。ただし、これは輸出者に対して特定の文書等の入手を義務づけるというものではなく、通常の商慣習の範囲内で入手した文書等との趣旨である。

なお、省令第二号及び第三号(メモ:需要者要件)については、「輸出者が入手した文書等のうち経済産業大臣が告示で定めるもの」(文書等告示)。

 

文書等告示第一号は、輸出者が当該輸出の適切な実施に資するものとして入手した文書等(通常の商慣習の範囲内で入手した文書等)に関する規定である。なお、その貨物の輸出に際して輸出者が入手した各種海外情報等の調査結果は文書等告示第一号の「その他の輸出者が入手した文書等」に含まれる。

 

文書等告示第二号は、外国ユーザーリストに関する規定である。外国ユーザーリストを入手した場合には、輸出時に外国ユーザーリストを確認したか否かを問わず、「輸出者が入手した文書等」に該当することとなる。

 

文書等告示第三号は、第一号及び第二号に掲げるもののほか、「その貨物の輸出に際して、輸出者がその内容を確認した文書等」に関する規定である。例えば、過去の取引において入手し、倉庫等に保管されていた文書等で、その貨物の輸出に際して内容確認を行った文書等はここでいう「輸出者が入手した文書等」に該当することとなる。

 

なお、およそ当該輸出者の取引実態から考えて、当該輸出者が確認すると考えられないもの、例えば、当該輸出者にとって特異な言語で書かれた文書や極めて大部な文書は、ここでいう「輸出者が入手した文書等」には該当しない。(ただし、その内容を確認した場合にはこの限りでない。)

 

(3) 「需要者」

「需要者」は「当該貨物を費消し、又は加工する者」をいう。

その貨物の輸出に関する契約書、輸出者が入手した文書等又は輸入者等からの連絡において、輸出段階で需要者が不明の場合は、省令第二号及び第三号(メモ:需要者要件)に該当しない。

また、輸出時点から全く形状、性質が変更された物を費消し、又は加工する者は、ここでいう需要者には該当しない。

需要者は法人単位で考慮することを原則とし、例えば、核兵器等の開発等を行う等の情報がもたらされている法人が当該輸出貨物の需要者の株式を保有している、又は、核兵器等の開発等を行う旨の情報がもたらされている親会社たる法人が当該輸出貨物の需要者に役員を派遣している等、輸出貨物の需要者が核兵器等の開発等を行う者との資本的・人的関係を有している場合であっても、それらが別法人であれば、省令第二号及び第三号には該当しない。

なお、需要者が行政機関である場合には、原則として行政機関単位で判断する。

 

(4) 「これらの代理人」

「これらの代理人」は「輸入者又は需要者に代わって意思表示をなし、又は意思表示を受領し、その法律効果が直接輸入者又は需要者に帰属する関係にある者」を意味する。

 

(5) 「連絡を受けた」

連絡手段は問わない。

なお、いわゆるライバル企業等の第三者から連絡を受けた場合については、当該者が輸入者若しくは需要者又はこれらの代理人に該当しない場合は、ここでいう「連絡を受けた」場合に該当しない。

 

(6) 「需要者が行う(行った)」

「行う」は現在及び将来の事象に係る規定、「行った」は過去の事象に係る規定。

その貨物の輸出に関する契約書、輸出者が入手した文書等又は輸入者等からの連絡において、当該貨物の需要者が核兵器等の開発等を「行う」又は「行った」旨示されている場合に需要者要件に該当することとなり、輸出者が単にその旨を知っているだけでは需要者要件に該当しない。

また、「需要者自身」が行うことが必要であり、例えば、需要者自身が核兵器等の開発等を行うことが、契約書、輸出者が入手した文書等又は輸入者等からの連絡において示されていない場合や、需要者が核兵器等の開発等を行う者との取引実績があることが示されているだけでは需要者要件に該当しない。