外為令 別表の 16の項の技術は、キャッチオール規制対象技術
外為令17条(役務取引の許可等)
(1) 法第25条第1項に規定する政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(以下「特定技術」という。)を特定の外国(以下「特定国」という。)において提供することを目的とする取引又は特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引は、別表中欄に掲げる技術を同表下欄に掲げる外国において提供することを目的とする取引又は同表中欄に掲げる技術を同表下欄に掲げる外国の非居住者に提供することを目的とする取引とする。
cf 輸出貿易管理令別表第3の16の項は、
・貨物のキャッチオール規制では、関税定率法別表第二五類から第四〇類まで、第五四類から第五九類まで、第六三類、第六八類から第九三類まで又は第九五類に該当する貨物(一から一五までの項の中欄に掲げるものを除く。)とあるが、「経済産業省令(貨物等省令)で定めるもの」という表現は無い。
・技術のキャッチオール規制では、関税定率法別表第二五類から第四〇類まで、第五四類から第五九類まで、第六三類、第六八類から第九三類まで又は第九五類に該当する貨物の設計、製造又は使用に係る技術であつて、経済産業省令で定めるもの(一から一五までの項の中欄に掲げるものを除く。)として、貨物等省令での縛りが入っている。
まず、貨物と同様、食料品、木材等(通常兵器の開発等や大量破壊兵器の開発等との関連性が乏しい)以外のもの全ての貨物についての設計、製造または使用に係る技術がキャッチオール規制の対象技術となる。
別表 16の項で「経済産業省令で定めるもの」と言っているのは、「貨物等省令」(輸出貿易管理令別表第一及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令) のこと。
そこで貨物等省令をみると、次のように書いてある:
第二十八条 外為令別表の一六の項の経済産業省令で定める技術は、専ら関税定率法 別表第25類から第40類まで、第54類から第59類まで、第63類、第68類から第93類まで又は第95類に該当する貨物の設計、製造又は使用に係る技術とする。
ここで、専ら~係る技術とは、「役務通達」(外国為替及び外国貿易法第25条第1項及び外国為替令第17条第2項の規定に基づき許可を要する技術を提供する取引又は行為について)の 別紙1「外為令別表中解釈を要する語」に、下記の様に説明されている。なお、当該 別紙1は e-GOV 法令検索からダウンロードできる文書には掲載されておらず、「別紙1 省 略 (注 : 「外為令別表中解釈を要する語」は、省略。)
( 経済産業省安全保障貿易管理のホームページ上の「技術のマトリクス表」
( http://www.meti.go.jp/policy/anpo/matrix_intro.html )を参照ください。)」となっている。
" 関税定率法別表第25類から第40類まで、第54類から第59類まで、第63類、第68類から第93類まで又は第95類に該当する貨物の設計、製造又は使用に係る技術のうち、関税定率法別表第25類から第40類まで、第54類から第59類まで、第63類、第68類から第93類まで又は第95類に該当する貨物以外の貨物に適用できる技術以外のものをいう。"
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/kanri/shyourei-matrix/ekimu-matrix/ekimu-matrixfile16.htm
回りくどい言い方だが、輸出貿易管理令別表第1の16の項の貨物の製造技術であっても、その製造技術がキャッチオール規制の対象とはならない貨物にも使えるものであれば、外国為替令別表の16の項には該当しない、という意味。
例えば不織布マスク(63類:16の項該当)の製造技術とブラジャー(62類であって、16の項に該当せず)の製造技術が共通したものである場合、その製造技術は専ら不織布マスクの製造に係る技術にはあたらず、技術のキャッチオール規制の対象とはならない。
貿易外省令 第9条2項7号が技術に関するキャッチオール規制を定めたもの。
七 前号に掲げるもののほか、令別表の一六の項に掲げる技術を提供することを目的とする取引であって、当該技術を内容とする情報が記載され、若しくは記録された文書、図画若しくは記録媒体の提供若しくは電気通信による当該技術を内容とする情報の送信を伴わないもの
又は
次に掲げるいずれの場合にも(本邦又は外国(輸出令別表第三の二に掲げる地域以外の外国をいう。以下この号において同じ。)において居住者又は外国の非居住者に提供することを目的とする取引にあっては、イ、ロ及びニのいずれの場合にも)該当しないもの
イ その技術が核兵器等の開発等のために利用されるおそれがある場合として経済産業大臣が告示(メモ:核兵器等開発等告示)で定めるとき。
ロ その技術が核兵器等の開発等のために利用されるおそれがあるものとして経済産業大臣から許可の申請をすべき旨の通知を受けたとき。
ハ その技術が輸出令別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物(核兵器等に該当するものを除く。ニにおいて同じ。)の開発、製造又は使用のために利用されるおそれがある場合として経済産業大臣が告示で定めるとき。
ニ その技術が輸出令別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物の開発、製造又は使用のために利用されるおそれがあるものとして経済産業大臣から許可の申請をすべき旨の通知を受けたとき
前段
前号に掲げるもののほか、令別表の一六の項に掲げる技術を提供することを目的とする取引であって、当該技術を内容とする情報が記載され、若しくは記録された文書、図画若しくは記録媒体の提供若しくは電気通信による当該技術を内容とする情報の送信を伴わないもの
・対面での口頭のみによる16の項の技術指導は規制対象外。
・Zoom, Teams, 電話、FAX, emailなどを通じた16の項の技術指導は規制対象となる。
cf リスト規制該当技術はたとえ対面での口頭のみによる技術指導であっても、許可必要。
後段を表に整理するとこのようになる。 |
グループ A国向け |
グループB,C国向け |
グループ D国向け |
イ その技術が核兵器等の開発等のために利用されるおそれがある場合として経済産業大臣が告示 (*核兵器等開発等告示)で定めるとき。 |
許可 不要
|
許可 必要 |
許可 必要 |
ロ その技術が核兵器等の開発等のために利用されるおそれがあるものとして経済産業大臣から許可の申請をすべき旨の通知を受けたとき。 |
許可 必要 |
許可 必要 |
|
ハ その技術が輸出令別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物(核兵器等に該当するものを除く。ニにおいて同じ。)の開発、製造又は使用のために利用されるおそれがある場合として経済産業大臣が告示で定めるとき。 |
許可 不要 |
許可 必要 |
|
ニ その技術が輸出令別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物の開発、製造又は使用のために利用されるおそれがあるものとして経済産業大臣から許可の申請をすべき旨の通知を受けたとき |
許可 必要 |
許可 必要 |
(*核兵器等開発等告示)
貿易関係貿易外取引等に関する省令第9条第2項第七号イの規定により経済産業大臣が告示で定める提供しようとする技術が核兵器等の開発等のために利用されるおそれがある場合
貿易関係貿易外取引等に関する省令第9条第2項第七号イの規定により経済産業大臣が告示で定める提供しようとする技術が核兵器等の開発等のために利用されるおそれがある場合は、次に掲げるときとする。
一 その取引に関する契約書若しくは取引を行おうとする者が入手した文書、図画若しくは電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下これらを総称して単に「文書等」という。)において、当該技術が核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機であってその射程若しくは航続距離が300キロメートル以上のもの (以下本則において「核兵器等」という。)の開発、製造、使用若しくは貯蔵(以下「開発等」という。)若しくは輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令(平成13年経済産業省令第249号)別表に掲げる行為のために利用されることとなる旨記載され、若しくは記録されているとき、又は取引を行おうとする者が、当該技術が核兵器等の開発等若しくは輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令別表に掲げる行為のために利用されることとなる旨当該取引の相手方若しくは当該技術を利用する者若しくはこれらの
代理人(以下「相手方等」という。)から連絡を受けたとき。(用途要件)
二 その取引に関する契約書若しくは取引を行おうとする者が入手した文書等のうち別表に掲げるものにおいて、当該技術を利用する者が核兵器等の開発等を行う旨記載され、若しくは記録されているとき、又は取引を行おうとする者が、当該技術を利用する者が核兵器等の開発等を行う旨相手方等から連絡を受けたとき(当該技術の用途並びに取引の条件及び態様から、当該技術が核兵器等の開発等及び輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令別表に掲げる行為以外のために利用されることが明らかなときを除く。)。(需要者要件)
三 その取引に関する契約書若しくは取引を行おうとする者が入手した文書等のうち別表に掲げるものにおいて、当該技術を利用する者が核兵器等の開発等を行った旨記載され、若しくは記録されているとき、又は取引を行おうとする者が、当該技術を利用する者が核兵器等の開発等を行った旨相手方等から連絡を受けたとき(当該技術の用途並びに取引の条件及び態様から、当該技術が核兵器等の開発等及び輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令別表に掲げる行為以外のために利用されることが明らかなときを除く。)(需要者要件)
別表
一 その取引に関し、相手方等から入手したパンフレット又は最終製品のカタログ及びその他の取引を行おうとする者が入手した文書等
二 輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号)第4条第1項第三号イに規定する核兵器等の開発等の動向に関し、経済産業省が作成した文書等
三 前二号に掲げるもののほか、その取引に際して、取引を行おうとする者がその内容を確認した文書等