1 一般包括許可の種類
包括許可取扱要領では、「一般包括許可の種類は一般包括輸出・役務(使用に係るプログラム)取引許可及び一般包括役務取引許可とする。」としている。
一般包括許可は、輸出貿易管理令別表第3に掲げる地域(いわゆるグループA国、以前のホワイト国から韓国を除いた各国) を仕向地として、輸出貿易管理令別表第1の2から14までの貨物を輸出する場合に、都度輸出許可を得るのではなく、包括的に輸出許可を得て輸出することのできる制度である。役務についても適用される。
「該非確認責任者+統括責任者」を経産大臣に届ければ、輸出管理内部規程はなくても良く、利用のためのハードルはそれほど高くないが、特別一般包括許可に比べると輸出先国や対象貨物の範囲が狭い。
2 一般包括許可の申請を行うことができる者
(1)NACCSが使用でき、かつ、
(2)次の①又は②のいずれかに該当する者
① 該非確認責任者及び統括責任者を選定している者。
(メモ:「該非確認責任者+ 統括責任者」を経産大臣に届ければ、輸出管理内部規程はなくても良い。)
or
② 安全保障貿易検査官室から「輸出管理内部規程受理票」及び「チェックリスト受理票」の交付を受けている者。
3 一般包括許可の要件
(1)一般包括輸出・役務(使用に係るプログラム)取引許可
申請者が、以下の①若しくは②のいずれか又は両方の行為を行おうとする場合に、一 括して許可を行ってもその輸出又は取引が国際的な平和及び安全の維持を妨げることと ならないと認められるとき。
① 仕向け地:輸出貿易管理令別表第3に掲げる地域を仕向地
対象貨物:輸出貿易管理令別表第1の2から14までの項の中欄に掲げる特定の貨物
② 外為令別表の2から14までの項の中欄に掲げる特定の技術を提供することを目的とする取引を行おうとする場合又は輸出令別表第3に掲げる地域の非居住者に特定の技術を提供することを目的とする取引を行おうとする場合
(2)一般包括役務取引許可
・申請者が、輸出令別表第3に掲げる地域において外為令別表の2から14までの項の 中欄に掲げる特定の技術を提供することを目的とする取引を行おうとする場合、又は
・輸出令別表第3に掲げる地域の非居住者に特定の技術を提供することを目的とする取引を行 おうとする場合
4 一般包括許可の範囲
(1)一般包括輸出・役務(使用に係るプログラム)取引許可
以下の①に該当する輸出及び②に該当する役務取引。
ただし、輸出令別表第3の2又は同表第4に 掲げる地域を経由する場合は、一般包括輸出・役務(使用に係るプログラム)取引許可 は適用できない。
① 別表Aにおいて「一般」と表記された欄にあたる貨物及び仕向地の組合せとなる輸出
② 別表Bにおいて「一般」と表記された欄にあたる技術及びその提供地の組合せとなる取引
(使用に係るプログラムに限る。ソ-スコ-ドが提供されるプログラムは一般包括適用不可。)
提供地 となる特定国と取引の相手方(契約の相手方のほか、当該取引において明らかとなっている限度において当該技術を利用する者を含む。)が属する特定国が異なる場合 は、いずれの特定国についても輸出令別表第3に掲げる地域であること。
(2)一般包括役務取引許可
別表Bにおいて「一般」と表記された欄にあたる技術及びその提供地の組合せとなる取引。
ただし、提供地となる特定国と取引の相手方(契約の相手方のほか、当該取引において明らかとなっている限度において当該技術を利用する者を含む。)が属する特定国 が異なる場合は、いずれの特定国についても輸出令別表第3に掲げる地域であること。
別表A (部分)
別表B (部分)
国・地域と仕向地及び提供地 (部分)
5 一般包括許可の有効期限
一般包括許可の有効期限は、その許可が有効となる日から起算して3年を超えない範囲内において経済産業大臣が定める日。
6 一般包括許可の利用
一般包括輸出・役務(使用に係るプログラム)取引許可に基づき輸出又は技術の提供を行う際は、当該輸出される貨物の用途及び需要者又は提供される技術の用途及び利用する者について、あらかじめ経済産業大臣に登録した統括責任者及び該非確認責任者の指示に従い、当該輸出又は技術の提供が一般包括輸出・役務(使用に係るプログラム)取引許可の範囲又は条件に適合していることを確認すること。
需要者が確定していない輸出又は利用する者が確定していない技術の提供(ストック販売)を行う場合にあ
っては、次のいずれかに該当する貨物及び技術が「り地域」(韓国)に転売される予定がないことを確認すること。
① 輸出令別表第1の3の項(1)に掲げる貨物であって、貨物等省令第2条第1項第一号へに該当するもの
② 輸出令別表第1の5の項(17)に掲げる貨物であって、貨物等省令第4条第十四号ロに該当するもの
③ 輸出令別表第1の7の項(19)に掲げる貨物であって、貨物等省令第6条第十九号に該当するもの
④ 外為令別表の3の項(1)に掲げる技術であって、輸出令別表第1の3の項(1)の貨物のうち、貨物等省令第2条第1項一号へに該当するものの使用(プログラムに限る(ソースコードが提供されるものを除く。)。)に係るもの
7 一般包括許可が当該輸出又は取引について 包括許可が失効する場合 :別表1(5)
一般包括 | 核兵器等の開発等に | その他の軍事用途に | |
用いられる(利用される)場合 | 別3地域向け | 失効 | 事後報告 |
用いられる(利用される)恐れがある場合 | 別3地域向け | インフォームあれば失効 | 許可対象外 |
用いられる(利用される)疑いがある場合 | 別3地域向け | 事前に届け出 | 事後報告 |
1)「核兵器等の開発等」とは、核兵器、軍用の化学製剤又は細菌製剤、これらの散布のための装置、これらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機であってその射程若しくは航続距離が300キロメートル以上のものの開発、製造、使用又は貯蔵を指す。
「その他の軍事用途」とは、核兵器等の開発等に該当 するものを除き、輸出令別表第1の1の 項に該当する貨物の開発、製造又は使用を指す。
下記は「その他の軍事用途」には該当しない。
① 空気銃、散弾銃、ライフル銃、火縄式銃砲のい ずれかであって、スポーツ用又は狩猟用のもの
② 救命銃、もり銃、リベット銃その他これらに類 する産業用銃
③ ①に用いる銃砲弾
④ ①②の附属品(暗視機能を有するものを除 く。)
⑤ 上記のものの部分品 ⑥ 産業用の発破器 ⑦ 産業用の火薬、爆薬、これらの火工品
2)「用いられる(利用される)場合」とは、輸出される貨物(提供される技術)が核兵器等の開発等や その他の軍事用途に用いられる(利用される)こととなる旨、その輸出(取引)に関する契約書又は輸出者(取引を行おうとする者)が入手した文書、図画若しくは電磁的記録において、記載され若しくは記録されている場合や、輸入者(取引の相手方)若しくは需要者(当該技術を利用する者)又はこれら の代理人から連絡を受けた場合を指す。
3)「用いられる(利用される)おそれがある場合」 とは、上記2)以外の場合であって、輸出される 貨物が「輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令」若しくは提供される技術が「貿易関係貿易外取引等に関する省令 第9条第2項第七号イの規定により経済産業大臣 が告示で定める提供しようとする技術が核兵器等 の開発等のために利用されるおそれがある場合の規定 に該当する場合又は核兵器等の開発等のために用 いられる(利用される)おそれがあるものとして 経済産業大臣から通知を受けた場合を指す。
4)「用いられる(利用される)疑いがある場合」と は、上記2)、3)以外の場合であって、輸出され る貨物(提供される技術)が核兵器等の開発等やそ の他の軍事用途に用いられる(利用される)疑いの ある場合を指す。
20211019