技術提供取引

貨物の取引については、外為法48条1項で規制されている。

一方、技術を提供する取引(役務取引)は、外為法25条1項で規制されている。

外為法25条

国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令(外国為替令)で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(特定技術)を特定の外国(特定国)において提供することを目的とする取引を行おうとする居住者若しくは非居住者又は特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引を行おうとする居住者は、政令(外為令17条4項)で定めるところにより、当該取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

 

...これは、前段と後段に分かれている。 

 

前段

・国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして

  政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(特定技術)を

特定の外国(特定国:事実上全世界) において提供することを目的とする取引を行おうとする

居住者若しくは非居住者

は、経済産業大臣の許可を受けなければならない。(提供地に着目。日本を除く、事実上世界どこでも)

 

後段

居住者は、日本内外を問わず、非居住者に特定技術を提供する取引を行うには、

経済産業大臣の許可を受けなければならない。 (提供相手に注目。非居住者だれでも。行為地は日本も含む。)

 

*「居住者」「非居住者」については、このページの末尾に記載。

 

技術提供取引の法体系

外為法25条はその詳細を外国為替令に委ねており、外国為替令17条では別表を設けて詳細を記述している。

外国為替令別表では、規制の対象となるのは、輸出貿易管理令別表第1の中欄に掲げられた貨物の設計、製造又は使用 (貨物によっては単に設計、製造) に必要な技術であって、経済産業省令で定めるものとしている。

具体的なスペックは経済産業省令(貨物等省令)に定められている。

貨物等省令は前半部分で貨物のスペックを、後半部分で技術のスペックを定めている。

さらに役務通達 別紙1 では「外為令別表中解釈を要する語」を説明している。

また、貿易関係貿易外取引等に関する省令(貿易外省令)では、技術提供取引の許可申請方法や、許可申請が不要な場合を定めている。

 

外為法25条→外国為替令17条・別表貨物等省令スペック

                                                     

     貿易外省令(許可手続き) 役務通達 1(3) 用語の解釈

 

規制対象となるのは、一定のスペックを持つリスト規制貨物に紐付いた、設計、製造、使用するための技術である。貨物によって、設計、製造、使用すべてが対象となる場合もあるし、その一部といったバリエーションもある。

そして、役務取引規制の運用については、「役務通達」(外国為替及び外国貿易法第25条第1項及び外国為替令第17条第2項の規定に基づき許可を要する技術を提供する取引又は行為について)で説明するという構造になっている。

 

なお、貨物の該否に関係なく規制される「はみだし技術」も規制対象となっている。

リスト規制に該当する技術は、原則としてその技術がリスト規制に該当する貨物に紐付くものであるが、一部のリスト規制該当技術は、特定の貨物に紐付いていないにも関わらず、技術単独で規制の対象となっているものもある。

法第二十五条第一項に規定する政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(以下この項、次項及び第十八条の二第一項において「特定技術」という。)を特定の外国(以下この項において「特定国」という。)において提供することを目的とする取引

又は

特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引は、

 

別表中欄に掲げる技術を同表下欄に掲げる外国において提供することを目的とする取引又は同表中欄に掲げる技術を同表下欄に掲げる外国の非居住者に提供することを目的とする取引とする。

外為法

外国為替令(政令)

役務通達

25条第1(役務取引等)

(前段)国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令(外国為替令)で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(特定技術)を
特定の外国(特定国)において提供することを目的とする取引
を行おうとする

居住者若しくは非居住者は、

政令で定めるところにより、当該取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

 

外為令第17条1項

(役務取引の許可等)

法第25条第1 に規定する政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(特定技術)を特定の外国(特定国)において提供することを目的とする取(と)は、

(この外為令)別表中欄に掲げる技術を同表下欄に掲げる外国において提供することを目的とする取引......(とする。)

 

(メモ)

・居住者/非居住者を問わず、特定技術を物理的・電子的に日本の国外に許可なく持ち出し、送信してはならない。

・典型例:日本にいる居住者から外国にいる非居住者への特定技術の提供。 

 

1 役務取引・特定記録媒体等輸出等許可の対象 

(1) 許可を受けなければならない取引の範囲

外為法第25条第1項で規定されている許可を受けなければならない取引とは、外為令別表の中欄に掲げる技術(プログラムを含む。以下「特定技術」という。)

①同表下欄に掲げる外国(以下「特定国」という。)において提供することを目的とする取引をいう。

①は取引の当事者の属性(居住者であるか非居住者であるか)にかかわらず、取引の相手方が技術情報を受領する場所が特定国であるものをいう。

 

25条第1(役務取引等)(後段)

特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引を行おうとする居住者は、政令で定めるところにより、当該取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

 ↓

(メモ) 2022年5月より役務通達改正。「特定国の非居住者に提供することを目的とした取引」に係る概念を明確化し、居住者への機微技術提供であっても、当該居住者が、非居住者へ技術情報を提供する取引と事実上同一と考えられるほどに当該非居住者から強い影響を受けている状態(特定類型)に該当する場合には、「みなし輸出」管理の対象であることを明確化。

 

 又は

(法第25条第1項(後段) に規定する)特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引(と)は

(この外為令)同(別)表中欄に掲げる技術を同表下欄に掲げる外国の非居住者に提供することを目的とする取引とする。

 

 (メモ)

許可を要する者を居住者のみとし、その取引相手を特定国(特定国といっても、実質的には全世界)の非居住者に限定。取引場所の限定はしていない。人的な規制。

・居住者が特定技術を非居住者向けに提供する場合、日本国外のみならず日本国内で非居住者に提供する場合も役務取引許可が必要。

・国内における技術提供であっても、技術提供を受けた非居住者は何れ帰国する蓋然性が高いので、居住者から非居住者への技術提供を管理している。

・技術の仲介取引は外為法25条①に読み込むものとされており、「役務取引許可」を受けることとなる。

・しかし入国後6か月経過または日本国内の事務所に勤務する外国人は居住者として扱われるので、外国の影響下にある居住者からの機微技術流出は実効性の観点から十分管理できない。→2022年5月より役務通達改正。

 ②特定国の非居住者に提供することを目的とする取引をいう。

②は技術情報が受領される場所がいずれかにかかわらず居住者が特定国の非居住者に技術を提供するものをいう。

なお、外国において提供を受けた特定技術を本邦に持ち込むことなく特定国において提供するもの又は特定国の非居住者に提供するものもこれらに該当する。

 

 

 

 

 

 

外為法25条第2項  

経済産業大臣は、前項(外為法251項)の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるときは、特定技術を特定国以外の外国において提供することを目的とする取引を行おうとする居住者若しくは非居住者又は特定技術を特定国以外の外国の非居住者に提供することを目的とする取引を行おうとする居住者に対し、政令で定めるところにより、当該取引について、許可を受ける義務を課することができる。

今はすべての国が「特定国」とされているので、この規定は事実上空文となっている。

 

外為法25条3項 (メモ:持ち出し行為を規制)

3 経済産業大臣は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める行為をしようとする者に対し、政令(外為令)で定めるところにより、当該行為について、許可を受ける義務を課することができる。

 

 第一項の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるとき 

同項の取引に関する次に掲げる行為

イ 特定国を仕向地とする特定技術を内容とする情報が記載され、又は記録された文書、図画又は記録媒体(特定記録媒体等)の輸出

ロ 特定国において受信されることを目的として行う電気通信による特定技術を内容とする情報の送信(本邦内にある電気通信設備からの送信に限る。以下同じ。)

 

(メモ:外為法25条第1項では「取引を行おうとする」時点で経産大臣の許可取得を求めているが、念のために更に遡って持出や送信時に許可を求めるように第3項で規定したもの。 

これを受けて外為令17条2項では「法第25条第3項第一号に定める行為をしようとする者(当該行為に係る特定技術を提供することを目的とする取引について同条第一項の許可を受けている者を除く。)は、経済産業省令で定める手続に従い、経済産業大臣の許可を受けなければならない。ただし、経済産業大臣が当該行為の主体、内容その他からみて法の目的を達成するため特に支障がないと認めて指定した行為については、この限りでない。」と規定している。)

 

 前項の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるとき 

  同項の取引に関する次に掲げる行為 (メモ:特定国以外向けも規制できるように設けた規定だが、特定国が全世界なので、第二号は事実上空文。)

イ 特定国以外の外国を仕向地とする特定記録媒体等の輸出

ロ 特定国以外の外国において受信されることを目的として行う電気通信による特定技術を内容とする情報の送信

役務通達では、法令にでてくる各種用語の意味について説明している。

 

役務通達 1(3) 用語の解釈

外為令別表、輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令(貨物等省令)、貿易外省令及びこの通達における用語の解釈は、別紙1及び別紙1-2に掲げるもののほか、次のとおりとする。

 

技術とは、貨物の設計、製造又は使用に必要な特定の情報をいう。この情報は、技術データ又は技術支援の形態により提供される。

 

プログラムとは、特定の処理を実行する一連の命令であり、電子装置が実行できる形式又はその形式に変換可能なものをいう。

 

設計とは、設計研究、設計解析、設計概念、プロトタイプの製作及び試験、パイロット生産計画、設計データ、設計データを製品に変化させる過程、外観設計、総合設計、レイアウト等の一連の製造過程の前段階のすべての段階をいう。

(メモ:プロトタイプの製作及び試験は「設計」にあたる。)

 

製造とは、建設、生産エンジニアリング製品化、統合、組立て(アセンブリ)、検査、試験、品質保証等のすべての製造工程をいう。

(メモ:検査は「製造」にあたる。)

 

使用とは、操作、据付(現地据付を含む。)、保守(点検)、修理、オーバーホール、分解修理をいう。

(メモ:「使用」は限定列挙。修理は「使用」にあたる。)

 

技術データとは、文書又はディスク、テープ、ROM等の媒体若しくは装置に記録されたものであって、青写真、設計図、線図、モデル、数式、設計仕様書、マニュアル、指示書等の形態をとるもの又はプログラムをいう。

 

技術支援とは、技術指導、技能訓練、作業知識の提供、コンサルティングサービスその他の形態をとる。また、技術支援には技術データの提供も含まれる。

 

基礎科学分野の研究活動とは、自然科学の分野における現象に関する原理の究明を主目的とした研究活動であって、理論的又は実験的方法により行うものであり、特定の製品の設計又は製造を目的としないものをいう。

 

特別に設計されたプログラムとは、特定の装置が当初設計された機能を達成する上で必要な最小限のオペレーティングシステム、診断システム、保守システム又はアプリケーションプログラムであって、機械語で表されており、かつ、他の互換性のない装置に同じ機能をもたせる場合にこのプログラムの修正又はプログラムの追加が必要なものをいう。

 

コ 削除

 

取引とは、有償無償にかかわらず、取引当事者双方の合意に基づくものをいい、提供することを目的とする取引とは、特定国において又は特定国の非居住者に対して技術を提供することを内容とする取引をいう。 (みなし輸出については別項参照)

 

シ  特定国の非居住者とは、外為法の規定及び外国為替法令の解釈及び運用についてに規定する基準に基づく自然人又は法人であって、特定国に属する(居所若しくは住所又は主たる事務所の所在を判断の基準とする)者をいう。

 

ス 取引の相手方が技術情報を受領する場所が特定国であるとは、当該取引における契約上の履行地が特定国

であることをいう(特段の定めがなければ取引の相手方の居所、住所又は主たる事務所の所在地が契約上の

履行地であると考えられる。)。

 

セ 許可を受けた外為法第25条第1項の取引により技術の提供を受けた取引の相手方とは、契約の相手方のほ

か、当該取引において明らかとなっている限度において当該技術を利用する者を含む。

 

ソ 外国において提供を受けたとは、取引の相手方に提供する技術を外国において第三者より提供を受けたこ

とをいう(居住者の指示により、第三者から取引の相手方に対して、直接特定記録媒体の提供又は技術情報

の電気通信による送信が行われる場合を含む。)。

 

タ 提供とは、他者が利用できる状態に置くことをいう。なお、いわゆるクラウドコンピューティングサービ

スの解釈については、別紙1-2のとおりとする。

別紙1及び別紙1-2に掲げるもの」のうち、「別紙1」は 経済産業省安全保障貿易管理のホームページ上の「技術のマトリクス表」http://www.meti.go.jp/policy/anpo/matrix_intro.html )のエクセルのセルの中に記載されている。

 

「必要な技術」とは、規制の性能レベル、特性若しくは機能に到達し又はこれらを超えるために必要な技術をいう。(メモ:その技術が無いと、貨物が貨物等省令に定める一定のスペックに達したり、そのスペックを超えることができない技術。)

 

「係る技術」は明確に定義されていないが、CISTECでは「関連する技術」としてとらえている。

 

 「居住者」「非居住者」

技術取引における居住性の判断基準:「外国為替法令の解釈および運用について」

 

 

 

 

日本人(本邦人

外国人

 

①日本に住んでいる日本人

②日本の在外公館に勤務する目的で出国し外国に滞在する日本人は居住者

・日本企業のクアラルンプールにある子会社に勤務する日本人で事務連絡、休暇等のため一時帰国し、その滞在期間が10ヶ月になる者は居住者

 

①日本にある事務所に勤務する外国人は居住
滞在期間に関わらず、外人を雇用した場合は即、居住者となる。外国の事務所に移ればその時点で非居住者。

本邦に入国後3ヶ月経過した外資系日本法人の仙台支店に勤める台湾人は居住者

②日本に入国後6月以上経過するに至った外国人は居住()

①本邦内にその主たる事務所を有する法人等(外国の法人等を含む。)

②本邦の在外公館

 

 

日本人であっても「非居住者」になる場合。

外国にある事務所(本邦法人の海外支店、出張所、事務所及び現地法人、又国際機関を含む。)に勤務する目的で出国し滞在する者(その滞在期間は問わず)

2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在する者

(2年経過してなくても良い。出国した時点で非居住者。)

③①又は②に掲げる者のほか、本邦出国後外国に2年以上滞在するに至った者

④①から③までに掲げる者で、事務連絡、休暇等のため一時帰国しその滞在期間が6月未満の者

①外国政府又は国際機関の公務を帯びる者

 

②外交官又は領事官及びこれらの随員又は使用人。ただし、外国において任命又は雇用された者に限る。
駐日大使館に勤務して6ヶ月以上経っていても、外国で任命または雇用された者は非居住者

 

合衆国軍隊等及び国連軍等

 在日米軍基地に基地内で使用する別表第1該当技術資料を納入する場合、在日米軍、その構成員は非居住者であるため、許可必要。

 

自社の海外の支店、出張所、事務所も「非居住者」である。

①本邦の法人等の外国にある支店、出張所その他の事務所

②本邦にある外国政府の公館(使節団を含む。)及び本邦にある国際機関

 

・1年間ニューヨークの大学に留学する目的で出国し、途中ワシントンに3日間滞在している日本人、 1年間の海外留学目的で出国している場合は「居住者」となる。(管理人注:居住者扱いとなる日本人であっても外国にいる場合は、それに規制技術の資料を送付する場合は、外国に資料を送ることになるので、許可が必要。)

・4年間ドイツの大学に留学する予定で出国し、途中ロンドンに一週間滞在している邦人、

 シンガポールのAPEC事務局に勤務する目的で出国し、途中タイに一週間滞在している邦人 及び

 ミラノにある日本駐在員事務所に6ヶ月以上勤務しているスペイン人は非居住者。

* 外国企業との技術提携契約に基づき、提携先の外国企業の研修生を受け入れ、入国後6ヶ月以上経過後にリスト規制技術を教える場合は、役務取引許可が必要。理由:契約相手は外国企業であり、非居住者。提携先の外国企業の研修生が入国後6ヶ月を経過しても役務取引許可が必要。

*これは役務取引の場合の居住性の判断基準である。貨物の場合、例えば在日米軍にリスト規制の資材を納入する場合、納入業者にとっては国内取引となるので、輸出許可は不要である。

・海外支店に規制対象貨物を送る場合、海外支店は非居住者となる。一方、海外支店が役務仲介取引を行う場合は本邦の法人等の外国にある支店、出張所その他の事務所は外為法の適用を受ける。

 

(対比して覚えよう)

米国EARの場合は滞在期間や雇用形態に関わらず、あくまで国籍である。2重国籍の場合は、直近の取得国籍や市民権を対象国籍とする。

従って、日本で雇用している中国籍の正社員にEAR対象技術を見せる場合はEARの許可が必要な場合がある。

 

貿易外省令(政令)

 

1条(許可の手続等) 

経済産業大臣の許可を受けようとする次の各号に掲げる者は、当該各号に掲げる様式による許可申請書二通を、経済産業大臣に提出しなければならない。

 (中略)

三  次のイ及びロに掲げる役務取引を行うことについて許可の申請をする者 

  別紙様式第三による役務取引許可申請書

イ 法第二十五条第一項 若しくは第五項 又は令第十八条第四項 (役務取引に係るものに限る。)の規定による経済産業大臣の許可を受けようとする居住者又は非居住者

ロ 令第十八条の三第二項 の規定による経済産業大臣の許可を受けようとする同条第一項 の規定により役務取引について許可を受ける義務を課された者

 

三の二  令第十七条第二項 の規定により法第二十五条第三項第一号 に定める行為をすることについて許可の申請をする者 

  別紙様式第三の二による特定記録媒体等輸出等許可申請書

 

四  次のイ及びロに掲げる外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借又は贈与に関する取引(この号において「仲介貿易取引」という。)を行うことについて許可の申請をする者 

  別紙様式第四による仲介貿易取引許可申請書

イ 法第二十五条第四項 又は令第十八条第四項 (仲介貿易取引に係るものに限る。)の規定による経済産業大臣の許可を受けようとする居住者

ロ 令第十八条の三第二項 の規定による経済産業大臣の許可を受けようとする同条第一項 の規定により仲介貿易取引について許可を受ける義務を課された者

2  前項の申請書には、申請の理由を記載した書類一通及び事実を証する書類一通を添付しなければならない。

 

役務通達

 

1 役務取引・特定記録媒体等輸出等許可の対象

(1) 許可を受けなければならない取引の範囲 (メモ:このページの上の方の表中に記載)

(2)  許可を受けなければならない特定記録媒体等輸出等の範囲 (メモ:別項で) 

(3) 用語の解釈 (メモ:このページの上の方に記載)

(4) 許可を必要とする時点

外為法及び外為令に規定する役務取引許可、特定記録媒体等輸出等許可を必要とする時点は、それぞれ次に掲げる時点とする。

① 外為法第25条第1項の規定に基づく許可

貨物の形による技術データの形態を提供する場合は、その貨物の取引の相手方に対する引き渡しより前の時点

イ 技術支援又は貨物の形によらない技術データの形態を提供する場合は、これらの技術の居住者(特定国において提供する場合に限る。)又は非居住者若しくは特定類型に該当する居住者に対する提供より前の時点

注:ただし、許可が必要となる取引について外為法第25条第1項の規定に基づく許可を受けずに当該取引に係る技術について輸出等を行う場合は、①で定める時点に達していない場合であっても、以下②に掲げる時点において外為令第17条第2項の規定に基づく許可を受けることを必要とする。

② 外為令第17条第2項の規定に基づく許可

ア 外国に向けた特定記録媒体等の船舶又は航空機への積み込みより前の時点

イ 特定国において受信されることを目的とした、電気通信による特定技術を内容とする情報の電気通信設 備からの送信より前の時点

2 役務取引・特定記録媒体等輸出等の許可

(1) 根拠法令及び事務の取扱い

(2) 許可の申請

① 役務取引の許可の申請は、貿易外省令第1条第1項第三号に規定する役務取引許可申請書(貿易外省令別 紙様式第3)に別紙3に掲げる書類を添付して行うものとする。

② 特定記録媒体等輸出等の許可の申請は、貿易外省令第1条第1項第三号の二に規定する特定記録媒体等輸 出等許可申請書(貿易外省令別紙様式第3の2)に別紙3に掲げる書類を添付して行うものとする。

(3) 有効期限の延長又は許可証の内容変更の申請 

(4) 輸出許可申請と同時に行う申請 

(5) 役務取引の許可

 (a) 外為令別表の中欄に掲げる技術を提供することを目的とする取引の許可は、次の役務取引許可基準により

行う。

1 技術が実際に利用する者に到達するのが確からしいか否か

2 申請内容にある利用する者が技術を利用するのが確からしいか否か

3 技術及びその技術によって製造される貨物が国際的な平和及び安全の維持を妨げるおそれのある用途

に利用されないことが確からしいか否か

4 技術が利用する者によって適正に管理されるのが確からしいか否か

 (b) 役務取引の形態等により、(a)の役務取引許可基準の一部を適用せず、又は外為法第67条第1項の規定

に基づき、据付確認報告、積み戻しその他必要な条件を付して許可することがある。

 (c) 化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約の履行の観点から、輸出貿 易

管理令(昭和24年政令第378号。以下「輸出令」という。)別表第1の3の項(1)に掲げる貨物として貨物等

省令第2条第1項第二号イからホまで又は第三号イからタまでのいずれかに該当するものの設計、製造又は

使用に係る技術を提供することを目的とする取引であって、「輸出貿易管理令の運用について」(昭和62年

11月6日付け62貿局第322号・輸出注意事項62第11号)(以下「運用通達」という。)別表第1の別紙の(注)

に定める「い地域①」「は地域①」、「は地域②」及び「り地域」以外の地域において提供するものについ

ては、役務取引の許可を行わない。

 (d) 包括役務取引許可に係る役務取引許可基準は、別に定めるところによる。(メモ:包括許可取扱要領)

 

貿易外省令の第9条2項「許可を要しない役務取引等」

 

 

(管理人注:役務の該否判定書においては、<該当技術>、ただし貿易外省令9条2項*号により許可不要、と記載する。)

 

 

2 令第17条第5項に規定する経済産業大臣が指定する取引(経済産業大臣が当該取引の当事者、内容その他からみて法の目的を達成するため特に支障がないと認めて指定したものについては、法第25条第1項又は第4項の規定による経済産業大臣の許可を受けないで当該取引をすることができる。)は、次の各号のいずれかに該当する取引とする。

 

(中略) 

九 公知の技術を提供する取引又は技術を公知とするために当該技術を提供する取引(特定の者に提供することを目的として公知とする取引を除く。)であって、以下のいずれかに該当するもの

イ 新聞、書籍、雑誌、カタログ、電気通信ネットワーク上のファイル等により、既に不特定多数の者に対して公開されている技術を提供する取引

ロ 学会誌、公開特許情報、公開シンポジウムの議事録等不特定多数の者が入手可能な技術を提供する取引

ハ 工場の見学コース、講演会、展示会等において不特定多数の者が入手又は聴講可能な技術を提供する取引

ニ ソースコードが公開されているプログラムを提供する取引

ホ 学会発表用の原稿又は展示会等での配布資料の送付、雑誌への投稿等、当該技術を不特定多数の者が入手又は閲覧可能とすることを目的とする取引

 

十 基礎科学分野の研究活動において技術を提供する取引

 

十一 工業所有権の出願又は登録を行うために、当該出願又は登録に必要な最小限の技術を提供する取引

 

十二 貨物の輸出に付随して提供される使用に係る技術(プログラム及び経済産業大臣が告示で定めるものを除く。)であって、当該貨物の据付、操作、保守又は修理のための必要最小限のものを当該貨物の買主、荷受人又は需要者に対して提供する取引(輸出の許可を受けた日又は貨物の輸出契約の発効した日のいずれか遅い日以降に提供されるものに限る。)。ただし、当該技術のうち、保守又は修理に係る技術の提供については、次のいずれかに該当するものを除く。

イ 当該貨物の性能、特性が当初提供したものよりも向上するもの

ロ 修理技術であって、その内容が当該貨物の設計、製造技術と同等のもの

ハ 令別表中欄に掲げる技術であって、貨物の設計、製造に必要な技術が含まれるもの

 

十三 プログラムの提供に付随して提供される使用に係る技術(プログラム及び経済産業大臣が告示で定めるものを除く。)であって、当該プログラムのインストール、操作、保守又は修理のための必要最小限のものを当該プログラムの取引の相手方又は利用する者に対して提供する取引(役務取引の許可を受けた日又はプログラムの提供契約の発効した日のいずれか遅い日以降に提供されるものに限る。)。ただし、当該技術のうち、保守又は修理に係る技術の提供については、次のいずれかに該当するものを除く。

イ プログラムの機能、特性が当初提供したものよりも向上するもの

ロ 修理技術であって、その内容がプログラムの設計、製造技術と同等のもの

ハ 令別表中欄に掲げる技術であって、プログラムの設計、製造に必要な技術が含まれるもの

 

十四 (市販の) プログラムを提供する取引であって、次のいずれかに該当するもの

イ 令別表中欄に掲げるプログラム(経済産業大臣が告示で定めるものを除く。)であって、次の(一)及び(二)に該当するものを提供する取引。ただし、外国(輸出令別表第三に掲げる地域以外の外国をいう。以下この号において同じ。)において提供する取引(販売されるものに限る。)又は外国の非居住者に提供する取引にあっては、第七号イ、ロ及びニのいずれかに(輸出令別表第三の二に掲げる地域に該当する外国において提供する取引(販売されるものに限る。)又は当該地域に該当する外国の非居住者に提供する取引にあっては、第七号イからニまでのいずれかに)該当するものを除く。

(一) 購入に関して何らの制限を受けず、店頭において又は郵便、信書便事業者(民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号。以下「信書便法」という。)第二条第六項に規定する一般信書便事業者又は同条第九項に規定する特定信書便事業者をいう。以下同じ。)による同条第二項に規定する信書便(以下「信書便」という。)若しくは電気通信の送信による注文により、販売店の在庫から販売されるもの又は使用者に対し何らの制限なく無償で提供されるもの

(二) 当該プログラムの使用に際して当該プログラムの供給者又は販売店の技術支援が不要であるように設計されているもの

ロ 削除

ハ 輸出令別表第一の中欄に掲げる貨物(経済産業大臣が告示で定めるものを除く。)と同時に提供される当該貨物を使用するために特別に設計されたプログラムであって、いかなる形でもソースコードが提供されないものを提供する取引

ニ 役務取引許可を受けて提供したプログラムについて、次の(一)又は(二)に該当するプログラムを当初役務取引許可を受けた取引の相手方又は利用する者に対して提供する取引

(一) 許可を受けた範囲を超えない機能修正を行ったもの又は機能修正を行うためのもの

(二) 本邦から輸出された貨物を本邦において修理した後再輸出される貨物と同時に提供されるプログラムであって、役務取引許可を受けて提供したものと同一のもの

ホ 令別表の二又は四から一五までの項の中欄に掲げるプログラム(オブジェクトコードのものに限り、経済産業大臣が告示で定めるものを除く。)の取引であって、貨物(輸出令別表第一の二又は四から一五までの項の中欄に掲げるものに限る。)の輸出に付随する据付、操作、保守若しくは修理のための必要最小限のもののうち、当該貨物の買主、荷受人又は需要者に対して提供する取引(輸出の許可を受けた日又は貨物の輸出契約の発効した日のいずれか遅い日以降に提供するものに限り、当該貨物の性能若しくは特性が当初提供したものより向上するもの又は当該貨物に対して新たな機能若しくは特性を提供するものを除く。)

ヘ 令別表の二又は四から一五までの項の中欄に掲げるプログラム(オブジェクトコードのものに限り、経済産業大臣が告示で定めるものを除く。)の取引であって、プログラム(同表の二又は四から一五までの項の中欄に掲げるものに限る。)の提供に付随するインストール、操作、保守若しくは修理のための必要最小限のもののうち、当該提供に係るプログラムの取引の相手方又は利用する者に対して提供する取引(役務取引の許可を受けた日又は当該提供に係るプログラムの提供契約の発効した日のいずれか遅い日以降に提供するものに限り、当該提供に係るプログラムの性能若しくは特性が当初提供したものより向上するもの又は当該提供に係るプログラムに対して新たな機能若しくは特性を提供するものを除く。)

(以下略)