外為法55条の10 (輸出者等遵守基準)
1 経済産業大臣は、経済産業省令*で、第25条第1項に規定する取引又は第48条第1項に規定する輸出(以下「輸出等」という。)を業として行う者(輸出者等)が輸出等を行うに当たつて遵守すべき基準(輸出者等遵守基準)を定めなければならない。(*メモ:輸出者等遵守基準を定める省令)
2 輸出者等遵守基準は、第25条第1項に規定する取引によつて提供しようとする特定技術又は第48条第1項の特定の地域を仕向地として輸出をしようとする同項の特定の種類の貨物が特定重要貨物等に該当するかどうかの確認に関する事項その他当該取引又は輸出を行うに当たつて遵守すべき事項について定めるものとする。
3 前項の「特定重要貨物等」とは、特定技術又は第48条第1項の特定の種類の貨物であつて、その特定国における提供若しくは特定国の非居住者への提供又はその同項の特定の地域を仕向地とする輸出が国際的な平和及び安全の維持を特に妨げることとなると認められるものとして経済産業省令**で定めるものをいう。
4 輸出者等は、輸出者等遵守基準に従い、輸出等を行わなければならない。 (**メモ:特定重要貨物等を定める政令)
*特定重要貨物等を定める省令
外国為替及び外国貿易法第55条の10第3項の規定に基づき、特定重要貨物等を定める省令を次のように定める。
外国為替及び外国貿易法第55条の10第3項の特定重要貨物等は、外国為替令別表の1から15までの項の中欄に掲げる技術及び輸出貿易管理令別表第一の1から15までの項の中欄に掲げる貨物とする。
輸出者等遵守基準 (輸出者等遵守基準を定める省令)
外国為替及び外国貿易法第55条の10第1項の規定に基づき、輸出者等遵守基準を定める省令を次のように定める。
第1条 外国為替及び外国貿易法(以下「法」という。)第五十五条の十第一項の輸出者等遵守基準は、次のとおりとする。
メモ:「該非確認責任者」は輸出取引を行っているすべての企業で選任が必要。
一 輸出者等(第五十五条の十第一項の輸出者等をいう。次号及び第三条において同じ。)が遵守すべき基準
イ 法第二十五条第一項に規定する取引によって提供しようとする特定技術又は法第四十八条第一項の特定の地域を仕向地として輸出をしようとする同項の特定の種類の貨物が、特定重要貨物等に該当するかどうかの確認(以下この条において「該非確認」という。)についての責任者(以下この号及び次条において「該非確認責任者」という。)を選任すること。
ロ 輸出等(法第五十五条の十第一項の輸出等をいう。次号において同じ。)の業務(該非確認の業務を含む。次号において同じ。)に従事する者(該非確認責任者を含む。次号において「輸出等業務従事者」という。)に対し、最新の法及び法に基づく命令の周知その他関係法令の規定を遵守するために必要な指導を行うこと。
メモ:リスト規制品を扱っている場合はさらに統括責任者、該否確認手続きなどを定める。
二 特定重要貨物等輸出者等(輸出者等のうち、特定重要貨物等の特定国における提供若しくは特定国の非居住者への提供を目的とする取引又は法第四十八条第一項の特定の地域を仕向地とする輸出を業として行う者をいう。以下同じ。)が遵守すべき基準
(注:イ~ホはリスト規制貨物を輸出している場合は必須)
イ 当該特定重要貨物等輸出者等を代表する者の中から特定重要貨物等輸出者等の行う輸出等の業務を統括管理する責任者(以下この号及び次条において「統括責任者」という。)を選任すること。
ロ 当該特定重要貨物等輸出者等の組織内の輸出等の業務を行う部門の権限及び責任並びに複数の部門において輸出等の業務を行う場合にあっては当該部門間の関係を定めること。
ハ 該非確認に係る手続を定めること。
ニ 取引によって提供し、又は輸出をしようとする特定重要貨物等の用途を確認する手続を定め、当該手続に従って用途の確認を行うこと。
ホ 特定重要貨物等の輸出等を行おうとする際に、当該特定重要貨物等の輸出等の業務に関する文書、図画若しくは電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下チにおいて同じ。)に記載され、又は記録された当該特定重要貨物等を特定する事項と輸出等を行おうとする当該特定重要貨物等が同一であることの確認を行うこと。
ヘ 輸出等の業務の適正な実施についての監査の体制及び定期的な監査の実施に係る手続を定め、当該手続に従って監査を定期的に実施するよう努めること。(メモ:努力規定)
ト 統括責任者及び輸出等業務従事者に対し、輸出等の業務の適正な実施のために必要な知識及び技能を習得させるための研修を行うよう努めること。(メモ:努力規定)
チ 子会社が輸出者等の特定重要貨物等の輸出等の業務に関わる場合には、当該業務を適正に実施させるため、当該子会社に対する指導及び研修並びに当該子会社の業務体制及び業務内容の確認(以下「指導等」という。)を行う体制及び手続を定め、当該手続に従って定期的に当該指導等を行うよう努めること。(メモ:努力規定)
リ 特定重要貨物等の輸出等の業務に関する文書、図画若しくは電磁的記録を適切な期間保存するよう努めること。(メモ:努力規定)
ヌ 関係法令に違反したとき、又は違反したおそれがあるときは、速やかに経済産業大臣に報告し、その再発防止のために必要な措置を講ずること。
第2条 特定重要貨物等輸出者等は、同一の者を該非確認責任者及び統括責任者に選任することができる。
メモ:「輸出者等遵守基準」は法が定めた基準を守るという受身のものだが、これを包含した上で更に、企業が自主管理として輸出貿易管理に関する一連の手続きを内部規程として任意に定めることがある。これを「輸出管理内部規程」、通称CP (Compliance Program)と言う。
また、単に自社だけで定めるのではなく、「輸出管理内部規程を整備した」として経済産業省に届け出ると、個別の輸出許可を取ることなく輸出者等の自主管理の下で一定範囲のリスト規制品等を包括的に輸出等を行える「一般包括許可」の取得が可能となるなどのメリットが得られる。届出の過程では、経済産業省から業種・業態に応じた策定に関する指導が受けられる。
輸出管理内部規程の届出等について
輸出注意事項17第9号・平成17・02・23貿局第6号
平 成 1 7 年2月 2 5 日 貿 易 経 済 協 力 局
最終改正 輸 出注意事項 2022第 15号 ・ 20220406貿局第 1 号
令 和 4 年 4 月 13日 経済産業省 貿易経 済 協 力 局
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/compliance_programs_pdf/20220413yushutsukanrinaibukitei.pdf
1 輸出管理内部規程の新規届出について
輸出管理内部規程を新規に経済産業大臣に届け出る場合には、以下の資料(①から④まで)を各1通ずつ下記7あてに提出すること。輸出管理内部規程とは、外為法を始めとする輸出関連法規(以下「外為法等」という。)の遵守事項(別紙1に定めるもの。以下「外為法等遵守事項」という。)をすべて含む内部規程(複数の規程によって構成されるもの、輸出管理以外の事項をも包含するもの、規程の一部について他者の輸出管理内部規程を引用し、又は準用して読み替えるものを含む。)をいう。
① 輸出管理内部規程【様式任意】
② 輸出管理内部規程の届出について【様式1】
③ 輸出管理内部規程総括表【様式2】
④ 輸出者等概要・自己管理チェックリスト【様式3】
輸出管理内部規程が経済産業大臣に受理され、かつ、本通達の内容を満たすと認められる場合には、届出者に対して「輸出管理内部規程受理票【別紙2】」及び「輸出者等概要・自己管理チェックリスト受理票【別紙3】」が発行される。
(別紙1)
外為法等遵守事項
Ⅰ 基本方針
組織の基本方針として、外為法を始めとする輸出関連法規(輸出者等遵守基準並びにリスト規制、大量破壊兵器キャッチオール規制及び通常兵器補完的輸出規制を含む。)の遵守を明確に定め、届出者の責任において、これを周知徹底し、かつ、実行すること。
Ⅱ 個別事項(輸出者等遵守基準並びにリスト規制、大量破壊兵器キャッチオール規制及び通常兵器補完的輸出規制に対応していること。)
1 輸出管理体制(輸出者等遵守基準を定める省令(平成21年経済産業省令第60号。以下「遵守基準省令」という。)第1条第一号並びに第二号イ及びロ関係)組織を代表する者を輸出管理の最高責任者(遵守基準省令第1条第二号イの統括責任者に相当する。)とし、輸出管理に関する業務分担及び責任範囲を明確にすること(遵守基準省令第1条第一号並びに第二号イ及びロを含む。)。
2 取引審査(該非判定(遵守基準省令第1条第一号イの該非確認を含む。以下同じ。)を含む。)(遵守基準省令第1条第一号イ並びに第二号ハ及びニ関係)
(1)取締役又は執行役若しくは執行役員(ただし、会社以外にあってはそれに相当する者。以下「取締役等」という。)が取引審査の最終判断権者(以下「最終判断権者」という。)となり、疑義ある取引の遂行を未然に防止すること。ただし、当該最終判断権者の権限は、輸出管理内部規程の定めるところにより、その一部を他の取締役等又は取締役等に準ずる者に委任することができる(遵守基準省令第1条第一号ロ及び第二号ロを含む。)。
(2)該非判定に関して手続を明確にし、実施すること(遵守基準省令第1条第一号イ及び第二号ハを含む。)。
(3)用途及び需要者等を確認する手続を定め、当該手続に従って用途及び需要者のの確認を行うこと(遵守基準省令第1条第二号ニを含む。)。
(4)特定重要貨物等の輸出等については、特定重要貨物等の用途及び技術を利用する者又は貨物の需要者の確認の適正な実施にあたり必要となる情報を、技術を利用する者又は貨物の需要者以外の者から入手する場合には、当該情報の信頼性を高めるための手続を定め、当該手続に従って用途及び技術を利用する者又は貨物
の需要者の確認を行うこと(遵守基準省令第1条第二号ニを含む。)。
3 出荷管理(遵守基準省令第1条第二号ホ関係)
(1)輸出等を行おうとする際に、出荷を行おうとする貨物及び技術と当該貨物及び技術の輸出関連書類等(輸出等の業務に関する文書、図画若しくは電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)をいう。以下同じ。)に記載され、又は記録された当
該貨物等を特定する事項が同一であることの確認を行うこと(遵守基準省令第1条第二号ホを含む。)。
(2)通関時の事故が発生した場合には、輸出管理部門に報告すること。
4 監査(遵守基準省令第1条第二号ヘ関係)
輸出等の業務の適正な実施についての監査の体制及び定期的な監査の実施に係る手続を定め、当該手続に従って監査を定期的に実施すること(遵守基準省令第1条第二号ヘを含む。)。
5 教育(指導及び研修を含む。)(遵守基準省令第1条第一号ロ及び第二号ト関係)輸出等の業務に従事する者(遵守基準省令第1条第一号イの該非確認責任者及び遵守基準省令第1条第二号イの統括責任者を含む。)に対し、最新の法及び法に基づく命令の周知その他関係法令の規定を遵守するために必要な指導を行うとともに、輸出等の業務の適正な実施のために必要な知識及び技能を習得させるための研修を実施すること(遵守基準省令第1条第一号ロ及び第二号トを含む。)。
6 資料管理(遵守基準省令第1条第二号リ関係)
(1)すべての輸出関連書類等に事実を正確に記載し、又は記録すること。
(2)輸出関連書類等を貨物の輸出時・技術の提供時から少なくとも7年間保存すること(遵守基準省令第1条 第二号リを含む。)。ただし、輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号)別表第1又は外国為替令(昭和55年 政令第260号)別表それぞれの5の項から16の項までの中欄に掲げる貨物又は技術については、貨物の輸出 時又は技術の提供時から少なくとも5年間保存すること(特別一般包括許可を受けた者にあっては、包括許可取扱要領Ⅱ4(1)②に規定する返送に係る輸出又は包括許可取扱要領Ⅱ4(2)②に規定する返送に係る技術の提供に該当するものとして輸出又は技術の提供をした場合(輸出令別表第1又は外為令別表の
2の 項から15の項までの中欄に掲げるものであるか、16の項の中欄に掲げるものであるか必ずしも明らかでないものの返送に係る輸出又は技術の提供を含む。)にあっては一律7年間保存すること)。
7 子会社及び関連会社の指導(遵守基準省令第1条第二号チ関係)
(1)子会社及び関連会社に対し、安全保障貿易管理に関する適切な指導を行うこと。
(2)輸出者等の特定重要貨物等の輸出等の業務に関わる子会社に対しては、当該業務を適正に実施させるため、当該子会社に対する指導及び研修並びに当該子会社の業務体制及び業務内容の確認(以下「指導等」という。)を行う体制を定めるとともに、当該指導等を行う手続を定め、当該手続に従って定期的に当該指導等
を行うこと(遵守基準省令第1条第二号チを含む。)。
8 報告及び再発防止(遵守基準省令第1条第一号ロ及び第二号ヌ関係)関係法令に違反したとき又は違反したおそれがあるときは、速やかに経済産業大臣に報告し、その再発防止のために必要な措置を講ずること(遵守基準省令第1条第一号ロ及び第二号ヌを含む。)(必要に応じ関係者に厳正な処分を行うことを含む。)