L/Cの2大原則
(1) 独立抽象性の原則
なるほどL/Cは輸入者と輸出者との取引の支払手段として用いられるが、そういった契約についてL/Cで言及していようとも、L/Cを扱う銀行としてはそのような取引とは無関係であり、仮に取引がキャンセルになったとしてもそれに拘束されるものではない。(UCP600 第4条を意訳)
(2) 書類取引性の原則
銀行が扱うのは書類であって、書類に書かれた貨物ではない。(UCP600 第5条)
→したがって、極論すれば貨物の中身が船積書類と全く異なっていても、船積書類がL/Cで要求されているとおりに整っていれば銀行は荷為替手形を買い取る。
逆に言えば、船積書類とL/Cに不一致(ディスクレ)があれば、銀行は荷為替手形を買い取らない(=厳格一致の原則)。
(20120501)
L/C決済は最近その件数が減少傾向にあるが、L/Cを知ることで貿易が判る。
L/Cは、インコタームズと同様、国際商工会議所が統一した規則を定め、それに従って運用されている。
信用状統一規則はUniform Customs & Practice for Commercial Documentary Credit : UCPというが、現在の最新バージョンは2007年改訂版であり、これをUCP600という。
L/CにはUCPの適用について、下記のような記述がある。
This Letter of Credit is subject to the Uniform Customs and Practice for Documentary Credits (2007 Revision) International Chamber of Commerce Publication No. 600.
UCP600は法律ではないが、これに準拠していないL/Cは実務上、銀行が扱ってくれない。
(20120425)
(1) 貿易決済手段としての「信用状」
海外の企業と取引を行う場合、船積したはいいが買主が本当に代金を払ってくれるか、非常に心配である。
これを解決する方法として運用されている制度に「信用状」信用状(L/C : Letter of Credit)がある。
信用状は、海を隔てた買主に対する与信リスクを 信用状発行銀行(通常は輸入者の取引銀行) に負ってもらうことにより、決済の安全性を高める仕組みである。
(2) 一般的な貨物の流れ
・貨物船で荷物を運ぶとき、船会社は貨物を積んだ場合、いわば貨物の引換証(この表現は適切ではないが説明の便宜上として了解されたし)として「船荷証券」(B/L: Bill of Lading)を荷主(輸出者)に通常は元本3通を発行する。
・輸出者はこのB/Lを買主にFEDEXやDHLなどのクーリエ便で送る。3通一度に送らず、第1便、第2便に分けて送る。輸入地で貨物を引き取るにはB/L1通あればよいので、途中の紛失に備えるためである。また、通常残りの1通は輸出者が保管しておく。(EMS国際郵便ではトラブルが多いとも言われている。)
・これを受け取った買主は、貨物が到着したら船荷証券を船会社に持って行き、それと引き換えに貨物を受け取る。船荷証券が無ければ貨物を受け取ることはできない。
・ここで、買主に馬鹿正直に船荷証券を渡してしまっては、貨物だけ引き取ったのにかかわらず買主が代金を払わなければ、輸出者は代金を受け取れない。
・そこで、L/Cを使い、代金回収を確実なものとする。
(3) L/Cを使った貨物の流れ
・L/Cを使う場合の特徴は、輸出者と買主との間に銀行が入り、輸出者から買主に直接貨物引換証であるB/Lを送るのではなく、銀行経由で送ることとし、買主が確実に代金を支払うようことを買主の取引銀行が保証する点である。
その流れは下記の通り:
① 売買契約が締結される。
② 買主(輸入者)が買主の取引銀行にL/Cを開設するように依頼する。
この場合買主はL/C Applicant (開設依頼人)と呼ばれる。
L/Cを発行した銀行は「主たる債務者」の立場となる。
仮にL/C発行銀行が輸入者の単なる保証人であれば、輸出者はまず輸入者に支払請求をし、断られて
初めて保証人に請求できるのであるが、L/Cの場合は主たる債務者の立場となって、輸出者から
ストレートに請求される。
③ 買主の銀行はL/Cを開設(L/Cという書類を発行すること)し、その旨を輸出地の銀行に通知する。
L/Cを開設した買主の銀行をIssuing Bank (開設銀行)と呼ぶ。
・L/Cのプレアド(プレアドアドバイス)が出されることもある。これが出されると、L?C発行銀行は
輸入者の業績が悪くて心配だからと言って、本番のL/Cの発行をやめるわけには行かない。
④ L/Cの開設を知らされた輸出地の銀行は、売主にL/Cが開設されたことを連絡する。
この場合の輸出地の銀行をAdvising Bank(通知銀行)と呼ぶ。
・通知銀行はL/C開設銀行のコルレス先なので、必ずしも輸出者の取引銀行とは限らない。
普段取引のない銀行からL/Cの到着通知が届くこともある。
・後日のL/Cアメンドの通知などは、当初の通知銀行と同じ銀行でなければならない(UCP600_9d)
⑤ 輸出者はL/C通知銀行からL/Cの交付を受ける。
L/C交付を受けた売主(輸出者)は、L/Cの条件(L/Cにはいつまでに船積みしろとか、B/Lのほか
にどんな書類を準備しろとかの条件が書かれている)にしたがって船積みする。
⑥ 売主(輸出者)が船会社から船荷証券(B/L)を受け取る。
売買契約がCIFやCIPの場合は輸出者が保険の手配をする。保険は手配をするだけであって、貨物に
事故があった場合の保険求償手続は買主が行う。
⑦ 輸出者はL/Cで指定された必要書類(B/L、Insurance Policy(保険証券)、Invoice(請求書)、
Packing List(梱包明細書)等)とBill of Exchange(荷為替手形)をそろえ、
Application for Negotiation (買取依頼書)を添えて、輸出地の銀行に持ち込み、買取依頼をする。
買取依頼を行う銀行は、L/C上で指定されている場合がある。(This credit is available with the
Tozai-Shogyo Bank Only.) これをRestricted Creditという。この指定銀行が自社と取引の無い場合、
自社の取引銀行に荷為替手形を買い取ってもらい、自社の取引銀行が指定銀行(この例ではTozai-Shogyo
Bank)にExpiery Dateまでに呈示して再買取をしてもらうか、直接L/C発行銀行にExpiery Dateまでに
直接呈示することもできる。
L/C上で This credit is available with any Bank. などとあれば、輸出者の取引銀行に買取を依頼で
きる。
⑧ 輸出地の銀行はL/Cで求めている書類と、輸出者が持ち込んだ書類が合致していれば
その書類と引換に売買代金を輸出者に立替払いする。
輸出者はかようなL/Cの制度のメリットを享受することができるのでBeneficiary(受益者)と呼ばれる。
Invoiceの通貨とL/Cの通貨は同一であること。
この場合の輸出地の銀行をNegotiation Bank (買取銀行)と言う。
(UCP600 14.b)ネゴに持ち込まれたときは、L/C発行銀行は呈示日の翌日から最長5営業日以内に
買取の可否を決定する。
・L/C atsight でも L/C 30days でも、輸出者にとっては手形買取により輸出代金をすぐに回収できる。
at sight 手形は手形が輸入者に呈示され次第輸入者がL/C発行銀行に支払う。
at 30days手形は手形の提示後30日後に輸入者がL/C開設銀行に支払う。
(注)実務上は、Negotiation Bankと輸出者との取引関係、金額等から判断して、ディスクレがなくて
も銀行が買取ではなく「取り立て扱い」とするケースもある。特に中小企業の場合は船積書類を銀行
が買い取ってくれるのか、事前に確認しておくことが必要。
L/Cだからと言って、すぐに現金化できると思っていると梯子を外されかねない。
⑨ 輸出地の買取銀行は、輸出者に払った代金の清算を補償銀行に請求する。この請求方法には、TTと、郵
送がある。「TT Reimbursement is acceptable」としていると、輸出地の銀行が船積書類の買取を行う
と同時に補償銀行に対して精算の請求がされるため、輸出地の銀行の資金立替期間が短くなり、輸出者
の金利負担が少なくなるというメリットがある。
⑩ 輸出地の銀行は輸出者から買い取ったB/Lを始めとする一連の書類を輸入地のL/C開設銀行に送付する。
⑪ 補償銀行は補償銀行内にあるL/C発行銀行の決済資金口座から貨物代金を引き落し、同じく補償銀行内
にある輸出地の買取銀行の口座に入金する。
⑫ 輸入地のL/C開設銀行は買主(輸入者/Applicant)に対して代金の支払い(荷為替手形の決済)を請求する。
なお、この時点で輸出者は既に代金を受け取っているので、L/C発行銀行が書類到着後にディスクレ
に気づいても、今更金返せということは非常に言いにくくなる。従い TT Reimbursement acceptable
は輸出者にとって有利といえよう。海外営業の立場からはTT Reimbursementを嫌がる輸入者、L/C
発行銀行には、注意したほうが良い。性悪説にたてば、輸入地側でつるんで、L/Cの中に巧妙に
ディスクレのネタを仕込んでいるかもしれない。
⑬ 買主(輸入者/Applicant)がL/C開設銀行に代金を支払う。
⑭ 代金が支払われると(荷為替手形の決済がされると)、L/C開設銀行はB/Lを始めとする一連の書類を
買主に手渡す。
⑮ 買主はB/Lを輸入地の船会社に提出する。
⑯ 買主はB/Lと交換に貨物を引き取ることができる。
このように、L/Cを利用することにより、輸出者は船積と同時に輸出代金を回収でき、輸出代金の取り損ねを回避できる。輸入者は、輸入代金を前払いしたのに係らず貨物が届かない心配をする必要がなくなる、というメリットがある。
(2023/12/14)
L/Cの関係者
(1)輸入地
取引銀行に、外国向け為替手形取引約定書を提出。付帯貨物と付属書類はすべて買取に伴う担保として差し入れる。
なお、L/Cを使う場合の特徴は輸出者と輸入者との間に銀行が入り、輸出者から輸入者に直接貨物引換証であるB/Lを送っていたのを、銀行経由で送ることとし、輸入者が確実に代金を支払うようことを輸入者の取引銀行が保証する点である。すなわち、銀行に取っては輸入者に対する「与信行為」となる。(「輸入」の項参照)
①Applicant→発行依頼人(輸入者)
②Issuing Bank, Opening Bank→発行銀行
(2)輸出地
③Advising Bank→通知銀行
(Issuing B/Kの支店があるときは自行支店、無いときはAdvising B/KのコルレスB/K)
④Beneficiary, Addressee, User →受益者(輸出者)
⑤Negotiation Bank→買取銀行
輸出手形の買取が特定の銀行に指定されているRestricted L/Cの場合は、通知銀行と買取銀行は必ずしも一致しない。
(3)第3国
⑥Reimbursement Bank 補償銀行
・Reimbursement
方式の補償は、L/Cに基づいて手形の買取を行った輸出地の銀行に対し、信用状発行銀行自らがその手形代金を送金などで直接支払うのではなく、第3の銀行に買取銀行への支払い処理を委任し、その銀行が発行銀行の本来支払うべき代金を買取銀行に支払う。この委任を受けた銀行を補償銀行Reimbursement
Bankという。通常ロンドンやNYなど国際金融の中心的都市に所在する発行銀行のコルレス先が指定される。
・L/Cネゴ→買取B/Kが輸出代金をBeneficiaryに支払う(立替払い)→(i)決済手形を作成し、Reimbursement B/Kに。→(ii)船積書類はIssuing Bankに送付。(ここで作成される手形は、買取銀行作成のもの。 Shipper作成の手形は船積書類として別途送付。)
・Reimbursement Bankは、(i)L/C発行銀行の口座から引落し、買取銀行の口座へ入金。(ii)L/C発行銀行には引落し通知 (iii)買取銀行には入金通知。
・L/CがT/T REIMBURSEMENT IS ACCEPTABLEとしている場合、輸出地の買取銀行は補償銀行に電信で支払い請求を行い直ちに決済するため輸出者側にMail Intは発生しない。
輸入者側が補償銀行の決済時点から輸入地でのTTSでの決済までの金利を負担することになる。そこで、L/CにはTT Reimbursement prohibitedという条項が付け加えられることがある。
一方、輸出者の船積書類を買取った輸出地の銀行は買取代金をL/C発行銀行に請求(償還請求: Reimbursement Claim)するが、これを電信(TT)で行うことを買取銀行に輸入者が許す場合、TT Reimbursement acceptableという文言がL/Cに書かれる。(通常、償還請求は郵送)
・輸入地のL/C発行銀行が輸入代金を輸入者に代わって立替払した形となり、輸入者はL/C発行銀行に対し手形取立期間立替え金利(Mail Days Interest)を余分に支払う。(手形取立期間立替え金利を為替相場に織り込んだ為替レートがAcceptance Rate)
(20120501)
「Invoice、Packing Listの発行者」と「B/Lに書かれたShiupper」とは一致する必要はない。
UCP600第18条
商業送り状(Commercial Invoice)
受益者によって発行されたものであること。
発行依頼人の名称宛に作成されたものであること。
信用状の通貨と同一通貨で作成されたものであること。
署名がなくてもよいが、署名を要求している場合はその限りではない。
UCP600第20条
船荷証券(B/L)
運送人の名称を明記し、運送人またはその代理人、船長またはその代理人によって署名されていること。
物品が信用状に記載されている船積港で船積されたことを明示していること。
信用状に記載されている船積港から陸揚げ港までの船積を明示していること。
これらの規定により、InvoiceやPacking Listの発行者とB/Lに記載されたShipperが一致する必要はないことが確認できる。
(20240916)
送金(回金)による補償 |
輸出地の買取銀行が荷為替手形船積書類をL/C発行銀行に送付、ディスクレなければ買取銀行の口座か、買取銀行のコルレス先の銀行の買取銀行の口座に送金。 |
|||
デビット方式 | 輸出地の買取銀行、あるいはそのコルレス先の銀行にL/C発行銀行の決済用口座がある。 | L/C発行銀行は買取銀行に口座引き落としの権限をauthorizeし、書類提示か手形満期日に引き落としして決済する。 | ||
クレジット方式 | L/C発行銀行に輸出地の買取銀行の決済用口座がある。 | 輸出地の買取銀行が荷為替手形船積書類をL/C発行銀行に送付、ディスクレなければL/C発行銀行内の輸出地の買取銀行の決済用口座に代わり金を振り替えて決済。 | ||
T.T. Reimbursementによる補償 |
補償銀行を荷為替手形の支払人とする場合: 当該外貨決済地(NYやロンドン)の銀行でL/C発行銀行のコルレス先が補償銀行に指定される。 |
①L/C発行銀行は補償授権書をL/C発行時に補償銀行へ送付。②輸出地では輸出者からTTBで書類買取。③補償銀行は輸出地の買取銀行からの補償請求受領日の翌日からMax 3営業日以内に、補償銀行内のL/C発行銀行の決済用口座から輸出地買取銀行の口座に代わり金を振り替え。④輸入社のL/C発行銀行は輸入者から代金支払いを受ける。この間の金利は湯勇者負担となる。 |
From
TOMYAM BANK LTD.
SOI 456 BANGKOK,
THAILAND
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
MT700 Issue of a Documentary Credit
27 |
SEQUENCE OF TOTAL |
1/1 |
40A |
FORM OF DOCUMENTARY CREDIT |
IRREVOCABLE UCP Latest Version |
20 |
DOCUMENTARY CREDIT NUMBER |
TMB-0123 |
31C 40E |
DATE OF ISSUE FORM OF DOCUMENTARY CREDIT |
20xx-03-15 UCP URR Latest Version |
31D |
DATE AND PLACE OF EXPIRY |
20xx-05-10 Tokyo in Japan |
50 |
APPLICANT |
Thai Smile Corp. 8F #551 Park Bldg. Soi 123 Lama V Road Bangkok, Thailand |
59 |
BENEFICIARY |
Nihonbashi Mfg. Co., Ltd. 1-2-3 Hatsutmoi-cho, Chuo-ku, Tokyo, 123-4567 Japan |
32B
39B |
CURRENCY /AMOUNT
MAXIMUM CREDIT AMOUNT |
USD(US Dollar) #100, 000.00# Not Exceeding |
41D |
AVAILABLE WITH..BY. |
Any Bank By Negotiation |
42C |
DRAFTS AT |
At Sight after B/L date Full Invoice Value |
42A |
DRAWEE |
Tomyam Bank Ltd. Soi 456 Bangkok, Thailand |
43P |
PARTIAL SHIPMENTS |
Prohibited |
43T |
TRANS SHIPMENT |
Prohibited |
44A
44E |
LOADING ON BAORD/DISPATCH TAKING IN CHARGE AT/FROM PORT OF LOADING |
Yokohama, Japan |
44B |
FOR TRANSPORTATION TO.. |
Laem Chabang, Thailand |
44C |
LATEST SHIPMENT DATE |
20xx-04-20 |
45A |
DESCRIPTION OF GOODS AND/OR SERVICES |
Power System Stabilizer Model PSS-101 |
46A |
DOCUMENTS REQUIRED |
DRAFT TO BE DRAWN AT SIGHT ON US BEARING THE CLAUSE DRAWN UNDER L/C NO TMB-0123. ALONG WITH THE FOLLOWING : (1) SIGNED COMMERCIAL INVOICE IN FIVE(5) COPIES INDICATING CREDIT NUMBER (2) FULL SET 3/3 OF CLEAN ON BOARD BILL OF LADING, PLUS TWO (2) NON-NEGOTIABLE COPIES, MADE OUT TO THE ORDER OF TOMYAM BANK THAILAND LTD., NOTIFY APPLICANT WITH FULL ADDRESS.
(3) FULL SET 2/2 OF INSURANCE POLICY FOR 110PCT CIP VALUE COVERING
INSTITUTE
CARGO CLAUSES (A) INCLUDING WAR CLAUSES AND STRIKE CLAUSES. (4) PACKING LIST IN FIVE (5) COPIES (5) CERTIFICATE OR ORIGIN IN TWO (2) COPIES |
47A |
ADDITIONAL CONDITIONS |
BENEFICIARY'S CERTIFICATE STATING THAT ONE COMPLETE SET OF NON-NEGOTIABLE DOCUMENTS HAVE BEEN SENT TO THE APPLICANT DIRECTLY WITHIN 5 BUSINESS DAYS OF SHIPMENT BY COURIER, RECEIPT OF WHICH MUST BE ATTACHED WITH THE LETTER. |
71B |
CHARGES |
ALL CHARGES OUTSIDE THE IMPORT-COUNTRY ARE ON BENEFICIARY'S ACCOUNT. |
48 |
PERIOD FOR PRESENTATION |
DOCUMENTS MUST BE PRESENTED FOR PAYMENT WITHIN 10 DAYS AFTER THE DATE OF SHIPMENT. |
49 |
CONFIRMATION INSTRUCTIONS |
WITHOUT |
53A |
REIMBURSING BANK |
MANHATTAN DAYDREAM BANK INC. 999 17TH AVE, NEW YORK NY 10999, USA |
78 |
INSTRUCTIONS TO THE PAYING/ACCEPTING/NEGOTIATING BANK |
T/T REIMBURSEMENT IS ACCEPTABLE DRAFTS MUST BE SENT TO US IN ONE LOT BY COURIER TO US |
説明
銀行間の送金や信用状のやりとりは、SWIFTを通じてオンラインで行われている。
SWIFTとは、国際銀行間通信協会(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)の略称で、国際銀行間の送金や決済をおこなう組織。
銀行間のL/C開設連絡にはSWIFTが規定したMT700 (MESSAGE TYPE 700)が使われ、TAG番号と項目名、内容が記載されている。
27 SEQUENCE OF TOTAL (ページ数)
40A FORM OF DOCUMENTARY CREDIT IRREVOCABLE (取り消し不能信用状)
20 DOCUMENTARY CREDIT NUMBER: (L/C 番号)
31C DATE OF ISSUE (L/C 発行日)
31D DATE AND PLACE OF EXPIRY
・信用状の有効期限とその場所。呈示の最終期限。
・船積期限に船積書類の呈示期間を加算した日付。
・Restrict L/Cの場合、自社取引銀行(指定銀行でない)に買取ってもらい、そこがRestricted Bankに持ち込
む際の最終期限。
・Restrict L/Cの場合、自社取引銀行(指定銀行でない)に買取ってもらい、そこがL/C発行銀行に直接持ち込
む場合は、その最終期限。(UCP 600 Article 6e)
・Expiry dateをアメンドで延長→Latest shipment dateは連動して延長されない。
(Latest shipment dateの記載がない場合はそれも延長されたことにはなる。)
・信用状の有効期限の日が銀行の休業日にあたる場合は、 次の営業日まで延長される。UCP600 29条)
しかし、アメンドで有効期限が延長され、その有効期限の日が銀行の休業日にあたる場合は延長されない
(UCP 600 29c)
50 APPLICANT (信用状開設依頼者、通常は輸入者)
59 BENEFICIARY (信用状受益者、通常は輸出者)
32B CURRENCY /AMOUNT (通貨の種類;信用状金額)
金額や単価、数量に about, approximately がついていると+ - 10%で許容。 (UCP 30)
41D AVAILABLE WITH..BY. (買取可能銀行)
42C DRAFTS AT (荷為替手形のサイト)
42A DRAWEE (荷為替手形の名宛人、通常はL/C発行銀行)
43P PARTIAL SHIPMENTS (分納可否)
43P PARTIAL
SHIPMENTS Prohibited の場合、出荷する港は違っても同じ船(同じVoy No.、同じ目的地)に積んだのなら Partial Shipmentにはならない。(ISBP)
43T TRANSSHIPMENT (積替え可否)
44E PORT OF
LOADING (船積地)
44B FOR TRANSPORTATION TO..
(目的地)
44C LATEST SHIPMENT DATE (船積期限)
・売買契約書で納期を定めている場合、それとつじつまが合っている必要がある。
例えば売買契約書に「Shipment: By April 20, 20xx.」としているなら、それに合わせる。
・31Dの Expiry Dateまでは、少なくとも10日間、できれば15日間は欲しい。
・UCP600 第3条では船積期間に用いられるto, until,till,
from, betweenはその日を含む
before, after はその日を含まない。
・on or about は、最初の日と最後の日を含めて5暦日期間内に行なわれるべき。
45A DESCRIPTION OF GOODS AND/OR SERVICES (貨物表示)
46A DOCUMENTS REQUIRED (L/Cネゴに必要な書類)
"DRAFT TO BE DRAWN AT SIGHT ON US" はL/C発行銀行。
(2) FULL SET 3/3 OF CLEAN ON BOARD BILL OF LADING, PLUS TWO (2) NON-NEGOTIABLE COPIES, MADE OUT TO THE ORDER OF TOMYAM BANK THAILAND LTD., NOTIFY APPLICANT WITH FULL ADDRESS.
について、
・L/Cネゴにおいて、B/Lは発行通数が表示されていない場合でも、オリジナルの全通を呈示しなければならない。(UCP600_Article 20 a.-iv) ただし、L/Cで1通を直送することが求められている場合を除く。
・単に「3 SETS」とすると、輸出者と輸入者がつるんでいて、実はオリジナルのB/Lを4通発行させ、1通をこっそり輸入者に直送して輸入者が貨物を引き取ってしまうという事が無い様にL/C発行銀行が FULL SET 3/3としている。
・L/Cの場合積荷は担保であるため、B/Lの荷受人を直接輸入者とする(記名式など)ことは、銀行は原則として認めない。通常は3つのパターンがあり、B/Lの裏書は下記のようになる。
To Order and blank endorsed: シッパーによる白地裏書き
To Oder of shipper and blank endorsed: シッパーによる白地裏書き
To Order of 信用状発行銀行:シッパーおよび買取銀行は裏書き不要
(3) FULL SET 2/2 OF INSURANCE POLICY FOR 110PCT CIP VALUE COVERING
INSTITUTE
CARGO CLAUSES (A) INCLUDING WAR CLAUSES AND STRIKE CLAUSES.
について、UCP600 28条bでは、仮にL/C上の保険書類は1通となっていても、保険書類に保険書類が1通以上発行された旨の記載がある場合は、元本全ての呈示が必要としている。
UCP600 28条eでは、保険の書類の日付はB/L dateより遅く無いこと、と定めている。
UCP600 28条fでは、保険金額は最低でもCIFかCIP価格の110%としている。
47A ADDITIONAL CONDITIONS (追加条件)
この設例では、輸出者(日本橋製作所)は船積書類のコピーを直接輸入者(Thai Smile)にクーリエで送った旨の輸出者のレターとクーリエの受取もネゴ書類に添付することを求めている。業界用語で「ベネサート」という。ここでは船積後5営業日以内とした。まれに「船積後すぐに送れ」とあるが、UCP600ではprompt, immediately, as soon as possibleと言った表現がL/Cに使われて入れも無視される。
71B CHARGES (銀行諸掛りの負担は Applicant が Beneficially どちらが負担するか)
48 PERIOD FOR PRESENTATION OF DOCUMENTS (船積後買取書類提示日数)
・UCP600 第3条では、from, afterが支払期日に用いられた場合、そこで言及された日はカウントに含まない。
・船積後、輸出者は船積書類を取りまとめて取引銀行に持参し、輸出代金の清算をする。この持参期日は、L/C上通常は10日、15日とされている。この指定呈示期間を過ぎたものを Late Presentationという。
・呈示期限がL/C上に無い場合、UCP600 14条 cでは B/L date後21日以内で、かつ信用状の有効期限内に銀行にネゴに持ち込むこととしている。これを過ぎるとStale B/Lというディスクレになる。
・呈示期限やL/Cの有効期限が銀行の休日と重なる場合は、銀行の休日後の最初の営業日まで延長される。(UCP600 29条A)
49 CONFIRMATION INSTRUCTIONS (L/C発行銀行からの確認指図)
・CONFIRM 発行銀行が通知銀行に対してCONFIRMを依頼しているもの。通知銀行がCONFIRMするつもりがないのなら、通知銀行は発行銀行にこの欄を「WITHOUT」に変更するよう依頼する。したがい、受け取ったL/Cに「CONFIRM」とあれば、原則、自動的にCONFIRMが付与される。
・MAY ADD 発行銀行が通知銀に対して、輸出者(Beneficially) からの依頼があればCONFIRMしてくれ、と言っているもの。通知銀行がCONFIRMするつもりがないのなら、通知銀行は発行銀行にこの欄を「WITHOUT」に変更するよう依頼する。したがい、受け取ったL/Cに「CONFIRM」とあれば、原則、自動的にCONFIRMが付与される。
・WITHOUT 発行銀行が通知銀行に対してCONFIRMの依頼を出していない場合。BeneficiallyがどうしてもCONFIRMED L/Cにしてほしいと主張する場合、受益者と確認銀行との特約で行う。(L/Cの発行銀行や通知銀行とは無関係)
・コンファーム手数料 L/C金額×リスク料率×(コンファーム実行日からL/C期限までの日数+ユーザンス日数)÷365(または360)
53A REIMBURSING BANK (補償銀行)
78 INSTRUCTIONS TO THE PAYING/ACCEPTING/NEGOTIATING BANK
・"DRAFTS MUST BE SENT TO US IN ONE LOT BY COURIER TO US”とある。L/Cではなく送金で決済し、輸入者にB/Lを直送する場合は1st B/L 2nd B/Lを別々に送るのだが、このL/CではOne
lotで送れとの指示がある。UCP600 35では、買取銀行がL/Cの指示通りに書類を発行銀行に送った場合、途中でなくなっても、L/C発行銀行が支払い義務を負うとしている。
(最終更新20190326)
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
L/Cに基づく荷為替手形の作成
42A
DRAWEE
TOMYAM BANK LTD.
SOI 456 BANGKOK,
THAILAND
L/C上の表現 荷為替手形の名宛人
Drawn on us L/C 発行銀行 (この例ではTomyam Bank)
Drawn on Opening Bank L/C 発行銀行 (この例ではTomyam Bank)
Drawn on Applicant L/C 発行依頼人(通常は輸入者 タイスマイル社)
Drawn on ABC Bank
ABC銀行
--------------------------------------------------------------------------------------------------------
設定サンプルに基づく荷為替手形 (手形番号は58/052とする。)
BILL OF EXCHANGE
NO. 58/052
FOR USD 100,000.00.- Tokyo Japan, April 27, 20xx
AT XXXXXXXXXX SIGHT OF THIS FIRST BILL OF EXCHANGE (SECOND BEING UNPAID) PAY TO
The Bank of Hinode., Co.Ltd. Tokyo head office OR ORDER THE SUM OF
US DOLLAR ONE HUNDRED THOUSAND ONLY
VALUE RECEIVED AND CHARGE THE SAME TO ACCOUNT OF
Thai Smile Corp.
8F #551 Park Bldg.
Soi 123 Lama V Road
Bangkok, Thailand
DRAWN UNDER
TOMYAM BANK THAILAND LTD.
L/C No. TMB-0123 DATED 3/15/20xx
TO. TOMYAM BANK THAILAND
LTD.
Soi 456 Bangkok, Thailand
Nihonbashi Mfg. Co., Ltd.
T.Yamada
Manager, International Sales Div.
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------
説明
(荷為替手形の書式は「綴り」になっているものを取引銀行の外為課で貰ってきて、英文タイプで打つ。しかし今や英文タイプは時代遅れで、最近は自社のパソコンで荷為替手形を作成できる。そのためには取引銀行に、私製用紙の届けが必要。)
荷為替手形
NO. 58/052
FOR欄 金額 Tokyo Japan, April 27, 20xx
この荷為替手形第1券一覧時にPAY TO_輸出者が買い取ってもらった取引銀行:ヒノデ銀行またはその指図人にUS$10万ドル金額をスペルアウトを支払されたし。その金額は、当社は代金受領済みなので、ヒノデ銀行に払ったあとは、同額をTO ACCOUNT OF_輸入者名+住所:タイスマイル社+住所に請求されたし。なお、この荷為替手形はDRAWN UNDER _L/C発行銀行 トムヤム銀行20xx年3月15日付け L/C No. TMB-0123 に基づいたものである。
TO_L/C発行銀行 (荷為替手形の宛先)
Tomyam Bank Thailand Ltd.
Soi 456 Bangkok, Thailand
この例ではL/C発行銀行
株式会社日本橋製作所
B/L Date 後〇日支払いの場合はB/L date を記入。
(B/L date は on board の日付)
収入印紙(200円)(第1券のみ)
L/CがRestricted L/Cで、輸出者の日本橋製作所から荷為替手形を買い取った日ノ出銀行が、L/Cで指定された日本国内の銀行 Tomyam Bank Thailand Ltd. Tokyo Branch に荷為替手形の再割引のためにする場合の、荷為替手形への裏書
Pay to the order of
Tomyam Bank Thailand Ltd.
Tokyo Branch
for The Bank of Hinode., Co. Ltd.
サイン
Manager
ディスクレになる場合
輸入者(Applicant) がディスクレを許して決済してよいとしていても、L/C発行銀行は必ずしもApplicantの意向に従う必要は無く、主たる債務者の立場で独自に判断しても良い。
B/L
・B/LのConsignee欄やNotify欄に電話番号やメルアドなどのコンタクト方法が、受益者や発行依頼人の住所の一部として表示されていているが、L/Cに書かれているのと同じでないとディスクレ。(UCP600 14j)
・B/LのConsignee欄がL/Cでは to order of Tomyam Bank なのに、B/L では Tomyam Bank はディスクレ。(ISBP E12)
・B/LのConsignee欄がL/Cでは Tomyam Bank なのにB/Lでは to orderはディスクレ。
・L/Cで要求されてなくてもB/Lには日付が無いとディスクレ。
・同じ日に出港し、同じ目的地にむかう別々の船につんだら、Partial Shipmentとなる。
Invoice
・インボイスの発行人は Beneficially, 通貨はL/Cと同じで、Applicant宛でなければディスクレ。
・インボイス上の description of the goods は L/Cに書かれた表現と一致する必要がある。L/Cの表現と一致していなければディスクレ。(UCP600
18条c)
I/P
・L/C上Insurance Policyは1通の要求だが、Insurance Policy には証券2通発行とあれば全通提出が必要。
1通のみ提出ではディスクレになる。(UCP600 28b)
・L/Cで要求されてなくても日付が無いとディスクレ。
荷為替手形
・日付が無いとディスクレ。
手続き
ディスクレの通知は呈示日の翌日起算5営業日以内。ディスクレの通知は1回のみ。後から別のディスクレ理由見つけても追加主張できない。(UCP600 16)
ディスクレにならない場合
B/L
・B/L上の Shipper が 輸出者でない。OK →ディスクレにならない。(UCP600 14k)
・B/Lに書かれた description of the goods の表現がL/Cと異なっている。OK
→L/Cと矛盾していなければ一般的な用語で書いてあってもディスクレとならない。(UCP600 14e)
・ L/Cの要求書類がB/Lなのに、Non-Negotiable Sea Way-bill を提示した。OK
→内容がL/C通りならディスクレにならない。(UCP600 20)
・ L/Cの要求書類がNon-Negotiable Sea Way-bill なのに、普通のB/Lを提示した OK
→内容がL/C通りならディスクレにならない。(UCP600 21)
・在来船のB/L上に不知文言がある。→ディスクレにはならない。検量困難だったとして扱う。
・L/CにPartial shipment prohibited とあるが、別々の港で、同じ船名の船、同じ航海番号、同じ目的地の船に積んでB/L が2組以上発行されても partial shipment とはならない。船積日は一番最後の日付となる。ISBPD23。
・輸出国の貨物受取地からL/C上の船積港まで運搬した船と、L/C上の船積港から陸揚げ国の港まで、異なる船で運んでもTrans shipmentとはならず、ディスクレではない。(UCP600 article20-b)
AWB
・AWBは原本全てを提出していなくても、「送り主用または荷送り人用」の原本を提出すればディスクレとはならない。(UCP600 23 a) Ocean B/Lは原則全て原本を呈示。
・Air取引のL/Cなのになぜか to order とあったが、AWBを記名式にした。→ディスクレにならない。(ISBP)
Invoice
・Invoice金額がL/C amount を上回るが、荷為替手形の額面はL/C金額と同じなら、買取銀行はディスクレ無きものとして受理でき、発行銀行もディスクレとはできない。
・L/CにSigned Commercial Invoiceとなければ、Invoiceにサインがなくてもディスクレにはならない。(インボイスには日付が無くても良い.)
・インボイスに特段の指定がない場合は、customs invoice, consular invoice などを呈示してもディスクレにはならない。(ISBP)
・買取書類の日付はL/C発行日より前であっても良い。(UCP600 14i)
→B/L dateが L/C発行日前でもディスクレにならない。L/Cが届かないので見切り船積することもある。(ネゴ持ち込み日より遅いのはダメ。)
・受益者と発行依頼人の書類上の住所がL/C中の住所と違っていてもディスクレにはならない。しかし、L/Cに書かれているのと同じ国になくてはならない。(UCP600 14j)
Certificates
・Certificate of Inspection の日付が B/L の on board notation の日付より後 OK
→呈示期間内なら ディスクレにならない。 (ISBP A12)
・L/CがCertificaate of Quality 1通、Certificate of Quantity 1通を要求している場合、1枚の書式でQualityとQuanntity の両方を証明している場合は、同じ書式の元本を2通添付すればよい。(ISBP A41)
・ L/Cに to order, to order of shipper, to order of issuing bank とあるのに、原産地証明のConsigneeが輸入者あて OK
→ディスクレとはならない。 (ISBP)
全般
・軽微なtypoはディスクレとはしない(ISBP)
輸入者が倒産した場合
輸出者がL/Cに従った書類を呈示すれば、L/C発行銀行は支払いを拒絶できない。
ただし、粗探しをしてディスクレを主張するであろう。間違えの無いネゴ書類作成が普段から必要。
L/C発行銀行が倒産した場合
1.Confirmed L/Cでなければ輸出地の銀行は荷為替手形を買い取らない。
2.通知銀行に呈示しても荷為替手形は買い取らない。
3.輸入者に別の銀行でL/Cを発行してもらい、そのL/Cでの決済を考える。
・貨物の船積が済んでいても、買取書類の日付はL/C発行日より前であっても良い。(UCP600 14i) →B/L dateが L/C発行日前でもディスクレにならない。
(1) その場合、
・B/Lネゴは新L/Cの有効期限内 かつ B/L date 以降にネゴ。
(2) 新L/Cは、
・B/L dateは動かせないので新L/Cの有効期限はB/L date の21日後とする。o/w Stale B/L。
・consigneeは to order または to order of shipper または to order of 新L/C開設銀行
(3) 発行済みB/Lの consignee欄を確認する。
旧L/Cの指示が 「made out to order of 旧L/C開設銀行」の様な記名指図式だった場合は、船会社に頼んでB/Lのconsigneeを新L/Cの要求に合うように修正してもらう。