・輸入者が海外子会社の場合
・輸入者との資本関係はないものの、長年の取引関係から信用できると判断される場合
・輸入者の規模等から判断して、信用できると判断される場合
・輸入者の何らかの事情で信用状を開けない場合(要注意)
【1】送金為替 (並為替) : 送ってもらう
1. 送金 (Open Account)
(1) 電信送金T/T(通知払い:受取人に現地銀行が通知して口座に振り込み、請求払い:受取人に現地銀行が通知し、窓口に出向いて受領、口座払い:単に口座に振込み)
(2) 郵便送金(M/T Mail Transfer)
輸入者から依頼を受けた輸入地の銀行が、輸出者の国の銀行に輸出者に代金を払う様、郵便で支払指図の文書を送ること。郵便局は金の流れにタッチするわけではなく、単に支払指図文書が郵送されるという意味。
(3) 送金小切手(Demand Draft):仕向け銀行が発行する送金小切手を、送金依頼人が受取人に送る。→受取人は被仕向け銀行で送金額を受け取る。
2.送金時期
(1)前払い Payment in Advance
(2)後払い Deferred Payment
(3)同時払い Cash on Payment (現実的には売掛期間が発生する)
(20201202)
Open Accountの場合の支払い期日
日本は例えば「納入月末締め切り翌月末送金」というのが一般的だが、海外では「60days after invoice date」というような、インボイスの日付起算のNet期日支払いが一般的。 支払い方法としては銀行振り込みか、小切手。
【2】取立為替 (逆為替)
(1) 通常の国内取引であれば、商品を仕入れた買主が商品代金の支払いとして手形を振り出す。
そして、手形の満期日に買主から売主に代金が決済される。つまり、手形の発行、代金決済とも買主→売主である。これを並為替という。
(2) これに対して「為替手形を振り出す」という請求方法がある。
売主が為替手形を発行(振出して)、買手(名宛人)に対して、売買金額相当を銀行(受取人)に支払うことを依頼する。そして手形の満期日に 売主←代金←買主 で代金が決済される。つまり、手形の発行は売主→買主で、代金決済は買主→売主へという様流れが逆になるので、「逆為替」という。
(3) 為替手形を国際取引のシーンでいうと、広義に Bill for Collection (B/C)という。
B/Cには2種類ある。
① 輸出代金決済のために売主である輸出者が振り出す為替手形に船積書類が添付されたものを荷為替(Documentary Bill) という。荷為替(Documentary Bill)による輸出代金の請求には2種類ある。
L/C付荷為替手形------銀行が買取
L/C無し荷為替手形---D/P, D/A
② 船積書類などが添付されていない単なる取立手形をClean Billという。
【3】L/C無し荷為替手形
(1) 荷為替手形を利用した貿易取引決済は、信用状(L/C)を併用すれば最も確実になる。
しかし、輸入者側の事情により信用状を利用できない場合は、手形支払書類渡し(D/P=Document against Payment)か、手形引受書類渡し(D/A=Document against Acceptance)が利用され、国際的な取り決めとして「取立統一規則」が適用される。この取立は委任契約となる。
①D/Pでは、輸入者が輸入者の取引銀行に輸入貨物代金を支払うことにより、船済書類を入手する。
荷為替手形は一覧払い手形(D/P at sight) が使用される。
D/P の場合、輸入者が代金を支払わなければ輸入者の取引銀行は書類を渡さないため、債権回収のリスクが小さい。
なお、D/P at 30days after sight:航海日数の関係で、輸入貨物の到着まで日数がかかる場合などに利用される。船積書類が到着しても決済しない。一覧後30日(航海日数と書類の到着がほぼ同じ時期になるようにする)手形期日に決済を完了した場合にのみ船積書類が引き渡される。D/Pユーザンスとも言う。
輸入地の取立銀行には、一切の立替払いが発生していない:TTSレートを適用。
②D/Aでは、輸入者が手形を引き受ける(手形の期日支払いを確約する)ことにより、船済書類を入手する。この場合はユーザンス手形(期限付手形)が使用される。
D/A の場合、手形を引き受けた(Acceptance)時点で書類が引き渡されるため代金回収のリスクは高くなる。輸入者はたとえ期日に支払える見込みが無くても、荷為替手形を引き受けてしまえば貨物を受け取ることはできる。
期限としては、
・確定日後定期払い D/A at 90days after (B/L) date D/A at 120days after (B/L) date
・一覧後定期払い D/A at 90days after sight D/A at 120days after sight
(2) 輸出者の取引銀行(日本側)は回収リスクが高いのでD/Aはもちろん、D/Pでも通常買い取らないので、回収リスクがある。(逆に言えば円建て輸出で為替予約の必要がなく、D/P,D/A決済なら、輸出者は輸出に関して取引銀行からの与信は受けなくてよい。)
そこで、買主の信用リスクに備え、独立行政法人日本貿易保険(NEXI: Nippon Export and Investment Insurance) の輸出手形保険を検討すべき。保険料は掛かるが、輸出荷為替手形が満期不払いとなった場合、為替手形金額の95%がカバーされる。(20171001)
(3) 信用リスク以前に、買主側の都合(例えば生産設備である貨物を輸入しても、その設備を用いてこなすはずの仕事のアテがなくなった等)で貨物がいらなくなり、いちゃもんを付けて契約自体を解除して、貨物を引き取り拒否する可能性も無いわけではない。
(4) 外貨建てL/C無し輸出手形の買い取りレート
中値¥100/US$、TTB 99円、 メール立替金利 1ドルあたり40銭、 L/Cなし取引のリスク料 1ドルあたり30銭として。
*At Sight Buying Rate without L/C : 1$=98.3円
・L/CなしDP手形買い取り時レート。
・At Sight Rate-リスク料。 つまり、TTB 99円-メール金利12日 40銭-リスク料 30銭= 98.3 。
・輸入国の銀行による支払い保証が無いため、危険負担料として一定の金額が信用リスク料としてAt sight レート(=Mail interest控除済み)から差し引かれる。
【4】荷為替手形の記載例
(1) 取立ベース:荷為替荷為替手形(L/Cなし)の例 (At Sight) : (手形番号は58/052とする。)
BILL OF
EXCHANGE
Documents Against Payment NO. 58/052
FOR USD 100,000.00.- Tokyo, April 17, 20xx
AT XXXXXXXXXX SIGHT OF THIS FIRST BILL OF EXCHANGE (SECOND BEING UNPAID) PAY TO
The Bank of Hinode., Co.Ltd. Tokyo head office OR ORDER THE SUM OF
US DOLLAR ONE HUNDRED THOUSAND ONLY
VALUE RECEIVED AND CHARGE THE SAME TO ACCOUNT OF ブランク
DRAWN UNDER ブランク
TO. Thai Smile Corp. Nihonbashi Mfg. Co., Ltd.
8F #551 Park Bldg. T.Yamada
Soi 123 Lama V Road
Bangkok, Thailand Manager, International Sales Div. 収入印紙
【説明】
・BILL OF EXCHANGE(表題)(L/Cネゴと同じ用紙)
・「Documents Against Payment」と手形面に記載。
・ 手形上にD/P D/Aの区別記載なし→D/Pとして扱う(1995取立統一規則 7条)
・ At XXXXX Sight of this FIRST Bill of Exchange (Second being unpaid) PAY TO 輸出者の取引銀行
or order the sum of Dollars One Hundred Thousand Only in US Currency(読みを綴る)」
・Value Received とあるが、取立手形ではまだ代金は受け取っていない。にもかかわらずここに「代金受領済み」とあるのは一見すると矛盾しているように思えるが、手形を発行する段階では、まだ実際の対価(代金)は受け取っていないが、手形が支払われることを前提としている、取立手形は、手形の代金が支払われる時点でその価値を受け取るという契約上の約束を含んでいるという意味で、この文言を含んでいても適切とされている。
・TO ACCOUNT OFの次は輸入者名。荷為替手形の名宛人と同じなら省略可。この例では省略されている。
To 荷為替手形の名宛人(輸入者名、住所)
(20240524)
(2) 取立ベース : 荷為替手形(L/Cなし)の例
(シッパーズ・ユーザンス60 days after B/L date BC Discount)
(手形番号は58/052とする。)
BILL OF
EXCHANGE
Documents Against Acceptance NO. 58/052
FOR USD 100,000.00.- Tokyo, April 17, 20xx
AT 60 days after B/L date OF THIS FIRST BILL OF EXCHANGE (SECOND BEING UNPAID) PAY TO
The Bank of Hinode., Co.Ltd. Tokyo head office OR ORDER THE SUM OF
US DOLLAR ONE HUNDRED THOUSAND ONLY
VALUE RECEIVED AND CHARGE THE SAME TO ACCOUNT OF ブランク
DRAWN UNDER ブランク
TO. Thai Smile Corp. Nihonbashi Mfg. Co., Ltd.
8F #551 Park Bldg. T.Yamada
Soi 123 Lama V Road
Bangkok, Thailand Manager, International Sales Div. 収入印紙
B/L date of April 15, 20xx
【説明】
・BILL OF EXCHANGE(表題)(L/Cネゴと同じ用紙)
・「Documents Against Acceptance」と手形面に記載。
・ 手形上にD/P D/Aの区別記載ないとD/Pとして扱われる (1995取立統一規則 7条)
・TO ACCOUNT OFの次は輸入者名。荷為替手形の名宛人と同じなら省略可。
・ At XXXXX Sight of this FIRST Bill of Exchange (Second being unpaid) Pay to 「取立てを依頼した輸出者の銀行名」or order the sum of Dollars One Hundred Thousand Only in US Currency(読みを綴る)」
・Value Received and charge the same to account of (ofの後は記載しない)
・To (輸入者名、住所)
・B/L date を特定する。
・ところで例えば 「At 60 days after sight」 の場合の起算日は、L/C発行銀行の船積書類受領日の翌日。
ーーーーーーーーーーーーーBill of Exchange 裏面ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Accepted on April 30, 20xx
Due on June 14, 20xx
Thai Smile Corp.
Signature
(20181018)
【6】国際ファクタリング
三菱UFJファクター株式会社HPより
https://www.muf.bk.mufg.jp/settle/international_01.html
「世界各国のファクター会社と連携し、海外の販売先(バイヤー)の信用調査を行い、その信用リスクを保証するサービスです。輸出取引を安全かつスムーズに行うためには、通常信用状(Letter of Credit)が使われますが、信用状開設には手間と費用が伴います。そこで、信用状を用いずに行う弊社の国際ファクタリングを導入していただくと、信用状開設の手間と費用が軽減され、かつ世界各国のファクタリング会社 (ファクター)がお互いに協力して輸出債権を保証しますので、送金ベースによる代金回収を安全・確実に行うことができます。」
(20160323)